102日目。このブログに取り上げるCDや本は、あくまで自分が「気に入ったかどうか」という単純な基準で選んでいます。やっぱ好きじゃないものは紹介したくないし、「これは最悪!」なんつう強気なレビューは、気の弱いボクには、なかなかどうしてできないのであります。あともうひとつ基準があって、「自分の言葉でみなさんに紹介してみたいと思えるかどうか」、もしくは「ボクの言葉でちゃんと紹介できるモノかどうか」。今日はあえて、一度書きかけ、どちらかというと後者の理由で、「やっぱ無理無理」と思って放置してしまった、このアルバムのレビューを完成させてみたいと思います。
このビョークの最新アルバム「ヴォルタ」は、先月の発売日に購入し、ブログも書く気満々だったのですが、聴き込んでゆくうちに、はたまた雑誌やなんやらで、このアルバムに関するビョーク自身のインタビュー記事や、本職の方々のレビューなどを目にしていくうちに、「いやいや、このアルバムはオレが紹介できるような代物ではないだろう」という結論に達し、結局書き掛けのまま筆(キーボード?)を置いてしまったのでございます。
でも今日改めてこのアルバムを聴いていて、「やっぱビョークさん、オリジナリティあってオモロいわー」と思ったのです。そして、「そうさ、大事なのはオリジナリティやな! ボクはボクの言葉でレビューすればええんや!」みたいな、分かり始めたマイ・レボリューションがあり、思わず筆(キーボード)を取ったみたのでございます。My Tears! My Dreams!
よし! ボクの言葉で語るビョークの最新アルバム「ヴォルタ」は、先ずジャケットが観音開きになっていて、その中央がビョークのシールになってるところがどうかと思う! 絶対このシールいつか破れるし! 開閉がすごい不便!
あと、全曲サビがない! どの曲も、最初から最後まで予測のつかないメロディラインでぶっちぎっていて、AメロとかBメロとかサビとかがありません! ビョークさん、楽譜つくってないやろ! これじゃカラオケで歌えません! 歌わねえけど!
言ってやったぜ、ふ〜。でもホント、全部即興の一発録りしたんじゃねえかと思えるくらい、このアルバムは最初から最後まで、その緊張感と疾走感に溢れた作品です。ティンバランドや、LFOのマーク・ベル、はたまた69日目に紹介したアントニー・アンド・ザ・ジョンソンズのアントニー・ヘガティーなど、参加ミュージシャンも多彩でスゴイのですが、何より彼らの才能を見極め、ここぞという場所に配置してみた、そのビョークさんの適材適所なディレクションぶりがスゴイです。
特にアントニー君とのデュエット曲「The Dull Flame Of Desire」と、ティンバランドが参加した「Innocence」の対比が見事。割れたガラスの印象を持つビョークさんのボーカルと、性を超越した包容力を持つアントニー君のボーカルが溶け合い、まるで深い海の底に流れる讃美歌のようなおごそかさを、唐突に躍り出たティンバランドが、狂気のビートでぶち破るというカタルシス。カッコブーです。
ビートボックスと生声のみで構成された前作「メダラ」からすると、すごい振り幅を感じる作品ですが、同じことを繰り返したりしない、ビョークさんの心意気がステキです。あと中のブックレットの、モノすごい隈取りをして、体から火を上げながら、浜辺でポーズを取っているあの写真は、変わり者の旦那・マシューさんの趣味でしょうか? あんな人と夜の浜辺に出くわしたら、マジ小便ちびると思う。なんじゃこのレビュー。やっぱ無理でした〜。