- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Imports
- 発売日: 1999/10/18
- メディア: CD
167日目。
アタシ
ハチ
歳？
３９
まぁ来年で４０
お金？
まぁ
当たり前に
ない
てか
ある訳ないじゃん
みたいな
趣味は
酒
てか
アタシが呑んで
あげてる
みたいな
なんじゃこりゃ、みたいな。最近ネットで話題のケータイ小説『あたし彼女』を読了いたしました。この小説は、ケータイで綴られた429ページの恋愛小説で、第３回日本ケータイ小説大賞を受賞した作品。句点を使わない代わりに改行を多用し、「みたいな」「てか」といったギャル語を頻発する独特の文体ながら、ストーリーは奔放で自分本位なギャルが、初めて本物の恋に落ち、人を愛することで人生の大切さを学んでいくという、なんとも王道というかヒネリのないシンデレラ・ストーリー。四十路手前のおっちゃん的にはもうちょっと毒がほしいところでしたが、「セカチュー」にしろ「恋空」にしろ、いつの時代もティーンの女の子は、こういう純愛モノに弱いんでしょうな。
文中では、主人公の恋愛テーマソング的に、minkというアーティストの『Eternal Love』という曲が登場しますが、毒々しいおっちゃんとしては、この小説のテーマ曲はそんな可愛らしい歌ではなく、Macy Grayの99年のヒット曲『I Try』あたりがピッタリなのでは？と思ったり。懐かしいPVとともに、『あたし彼女』的超訳をつけておきましょう。
駆け引きとか
心変わりとか
不安とか
そんなモン
いらないのに
全部
なくなっちゃえばいいのに
アタシたちが
会ったのは運命
だから一緒にいなくちゃ
ダメ
そう思ってた
でも違った
もうやめたい
でもまだ夢をみる
クールになりたい
でもなりきれない
さよなら
って言おうとして
噛んじゃう
カッコよく
歩み去ろうとして
コケちゃう
穴があったら入りたい
でもバレバレ
アナタがそばにいないだけで
アタシはダメ
マジでボロボロ
みたいな
本とのこと
いやかもしれないけど
アナタに
触れてほしい
アナタに
キスしてほしい
全力で
考えないようにしてるのに
どうしも
否定できないの
もうやめたい
でもまだ夢をみる
クールになりたい
でもなりきれない
さよなら
って言おうとして
噛んじゃう
カッコよく
歩み去ろうとして
コケちゃう
穴があったら入りたい
でもバレバレ
アナタがそばにいないだけで
アタシはダメ
マジでボロボロ
みたいな
このケータイ小説で、ボクが唯一共感を持てたのは、『恋愛は惚れたほうがカッコ悪い』という作者のスタンス。いつもオシャレで周りからチヤホヤされていた高飛車な主人公が、初めて本気で好きになった相手に、振り回されながらもぶつかっていき、ボロボロに恋に堕ちていく姿は、哀れを通り越して滑稽なほど。でもその滑稽さが、実は恋愛の醍醐味なんじゃない？という落としは、ギャル語で描かれながらも、『椿姫』の時代から描き続けられてきた普遍のテーマだし、Macy Grayのこの名曲にもつながります。
まあしかし、31歳にして会社常務で、高級マンションと高級車を持ってる上、ハンサムであんなに物わかりのいい彼氏っていうのは、ありえない、つうか、３９歳にして、車なしのアパート住まいのオレってどうよ？みたいな。
