26日目。イギリスでは最近美メロなロックが流行りらしく、以前の無人島で紹介したジェイムス・ブラントなんかは、あまりに彼の曲ばかりラジオでヘビローされるので、放送局に彼のヒット曲「You’re Beautiful」や「Goodbye My Lover」はもう掛けないでくれ!とリスナーからクレームが届く騒ぎになったとか。後続も多く、ダニエル・パウターなんて人も結構売れてましたが、ネクスト発掘!なんてコピーで、最近CDショップに並んでいるのがこの人。名前もまたジェイムス。ジャケの横顔も、ちょっとジェイムス・ブラント似。もういいよ〜ちょっと食傷気味だし〜なんて思いつつ、ちょっとだけ視聴したら、これがハマりました。現在我が家的超ヘビロー。
James Morrison。英国の有名音楽番組「Later with Jools Holland」に、デビュー・シングルさえ出していないのに出演し話題になったシンガーソングライターです。
名前と顔こそジェイムス・ブラントに似ていますが、やっている音楽はアル・グリーンなどのソウル・ミュージックやロッド・スチュワートのシンプルなロックに近いです。貧しい家庭に生まれ、子供のころから苦労を重ねていた人らしいですが、その経験が歌にも如実に表れていて、借金やドラッグや犯罪を背景にした歌詞の中には、「だからこそ愛しかなかった」という思いが満ちています。
現在イギリスで大ヒット中のシングル「You Give Me Something」は、愛を知らなかった男が、愛に溺れていく心情を切々と歌った名曲。「花を買ったことなどなかった。それが何を意味するのかさえ知らなかった。誰かを愛することなんてないだろうと思った。でも違ったんだ」なんていうクサい歌詞も、この人の苦労人なハスキーボイスで歌われると涙がでます。
ジャンルは全然違いますが、若かりし頃のブルース・スプリングスティーンにも近い気がする。なんつうか、その「暮らし」というものに対する真摯さが。弱冠21歳ですが、40男並みの渋さと懐の深さを持った「男」なアルバムです。
いつもより若干短いレビューなんで、困ったときのYoutube頼み。前述の「Later with Jools Holland」に出たときの映像です。歌の印象とまったく違う、繊細で初々しいルックス。こりゃ女子がほっとかんだろ。いろんな意味でクレームがつくほど売れる気がする。