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【無人島171日目】Sigur Rós “Með Suð Í Eyrum Við Spilum Endalaust”

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残響

残響

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
  • 発売日: 2008/07/02
  • メディア: CD

171日目。週末、東京国際フォーラムまで、「シガー・ロス」のライブを観に行ってきました。いやはや、素晴らしかった。シガー・ロス自身の演奏が素晴らしかったのはもちろんのこと、舞台演出やライティング、映像や音響にいたるまで、すべての要素がシガー・ロスの作り出す世界を、いかにここ「東京国際フォーラム」という会場に忠実に再現できるかという難題に挑戦し、そして見事にクリアしておりました。「完成度」という意味で言えば、今までに観たライブの中でも屈指のステージ。2階の末席からの観覧でしたが、実に実に感動いたしました。

説明するまでもないかと思いますが、シガー・ロス。94年にアイスランドで結成された4人組のポストロック・バンドです。エレキギターをチェロの弓でガンガンに弾きまくる「ボウイング奏法」。ゲイであることをカミングアウトしているボーカル、ヨンシー君の性別を超越したファルセット・ボイス。どこの国の言葉でもない「ホープランド語」と呼ばれる彼らのオリジナル言語で綴られたリリック。フツーに考えると、まったくもってただのキワモノ・バンドなワケですが、なぜか彼らの音楽は全世界で受け入れられております。
ブレイク前からビョークやトム・ヨークらが彼らのファンであることを公言していて、無名時代にレディオヘッドの前座をつとめていたことは今や伝説。99年にドロップしたセカンド・アルバム『アゲイティス・ビリュン』が世界中で60万枚以上も売れ、クリティックからは「20世紀最後の最高傑作」とまで賞賛されました。02年に発表した、もはや発音すらできんタイトルのアルバム『()』は、グラミーのベスト・オルタナティブ賞にノミネートされました。
その静寂と轟音。狂気と鎮静。郷愁を誘うメロディと、解読不明の暗号のようなリリック。切り口はまったく違うものの、ボクは彼らの音楽を聴いているとアイルランドの奇才「エンヤ」を思い出します。アナログとデジタルを自在に融合させるオリジナリティ。どこか遠くのほうから聞こえてくるエコーのような歌声。歌詞の意味は分からなくても、不思議と情景が浮かんでくる「ビジブル」な世界観。アイスランドとアイルランドという共通の地域性もあるのかも知れませんが、シガー・ロスとエンヤの音楽の背景にある、荒涼とした大地と澄み切った青空の風景は、どこか似ておるのです。
今年7月に5枚目、オリジナルとしては3年ぶりのフルアルバム「残響」をリリース。ずいぶんシンプルな邦題のつけられたこのアルバムの本当のタイトルはアイスランド語で「Með Suð Í Eyrum Við Spilum Endalaust」で、これを英語直訳すると「With A Buzz In Our Ears We Play Endlessly」。さらに和訳すれば「オレらは耳ん中でブンブンうるさい虫の羽音を聴きながら、ずっと演奏してんぜ!」みたいな感じ。どこが「残響」? まあいいけど。
前作「Takk…」では「ホープランド語」から離れ、全詞アイスランド語で挑戦した彼らでしたが、今作ではなんと英語詞にも挑戦。「ヨンシーが何を言ってんだか分かる!」っつう、驚きの初体験をファンにプレゼントしてくれております。しかしながら、ヨンシーが長年連れ添っているパートナーに捧げた歌だとされるその英語曲『All Alright』は、ヨンシーの掠れ声&囁くようなファルセット・ウィスパーボイスな上、歌詞カードもないため、何言ってんだか超不明瞭。ネット上ではあちこちのサイトが競うようにこの歌のディクテーションを試みていますが、どれもこれもちょっとずつ違っていたりしておかしいです。まあ一番妥当な線でいくと、以下の内容でしょうか。

I Want Him To Know
What I Have Done
I Want Him To Know
It’s Bad
I Want Him To Know
What I Have Done
I Want Him To Know
Right now
It May Be This Time Tomorrow
Or It May Be Today
It Is Now Alright
Now It’s Better
Now We’ll Know
Now He’ll Know What I Am Feeling
I’m Sitting With You
Sitting In Silence
Let’s Sing Into The Years Like One
Singing In Tune Together
A Psalm For No One
Let’s Sing In Tune
Boy Your Love
It’s Home
簡単な単語ばかりなのであえて訳しませんが、かなり意味不明です(笑)。でも大筋どうやらヨンシーは幸せらしいです。よかったね、って超余計なお世話なワケですが、ライブではいきなり2曲目にこの歌をぶちかまし、会場をいきなりの瞑想状態にさせておりました。すげーぜ、ヨンシー。
ライブの感動とアルバムのレビューを同時に上手くまとめようと思ったのですが、技量が足りんらしくなんだか支離滅裂な文章。もうこのへんでやめときます。とにかく、素晴らしいアルバムとライブをありがとう、シガー・ロス! なんじゃそりゃ。どんなまとめかたやねん。歯にもいいそうです!それはシュガー・レス! ………。うわっ! ドカーン!(自爆)

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