- アーティスト: Anonymous, Czech Anonymous, Gregorian Chant, Guillaume Dufay, Pierre de La Rue, Cristobal de Morales, Perotin, Sarum Chant, Hilliard Ensemble, Jan Garbarek
- 出版社/メーカー: ECM
- 発売日: 1999/11/16
- メディア: CD
8日目。梅雨入りだそうです。雨ってメンドーって話を以前書きましたが、何も予定のない日に、窓の外で降っている雨を見ているのは好きです。高い空から、自分の重みぶんのスピードに乗って落っこちてくる銀色の直線に目を凝らしていると、太古の昔、まだ人類がウホウホだった時代にも、雨の日には洞窟の入り口にしゃがんで、今のボクみたいにぼんやり雨を眺めてたフヌケがいたんじゃないかと思う。DNAに刻まれた、雨の日の奇習。
そんなぼんやりした雨の日におすすめなCDが、ヒリヤード・アンサンブルと、ジャズ・サックス奏者のヤン・ガルバレクとのコラボレーションアルバム「Officium」。
何年か前にグレゴリオ聖歌って流行ったじゃないですか。ヒリヤード・アンサンブルは、ああいったいわゆる「古楽」を専門に歌う、イギリスの声楽グループです。彼らがアカペラで歌う聖歌と、ノルウェー出身のサックスプレーヤー、ヤン・ガルバレクのアバンギャルドなプレイのコラボが、この「Officium」。オフィチウムとは、ラテン語で「義務」。
ヤン・ガルバレクはボクのお気に入りのミュージシャンで、彼のアルバムは何枚ももっていますが、どれも暗いです。そして凶暴。決して技巧に優れたプレイヤーではないかもしれませんが、この人からサックスを取り上げたら、なんにも残んないんじゃないかと思わせる、「切実」な演奏をする人です。
このアルバムを買ったのはもう10年ほど前ですが、いまでもふいに猛烈に聴きたくなる時があります。特にペチャンコに凹んでいる時。「癒し系」とかって言葉、あんま好きじゃないんですが、このアルバムはボクにとっては最強の癒しCDで、それも「がんばらなくていいんだよ」なんつう、甘やかしじゃなくて、「お前は孤独だ。でもそれは寂しいことではない」と教えてくれる、逆説的な癒し。
聴く時はいつもヘッドフォンをして、ボリュームをグンと上げて、じっとして聴きます。外は雨。Only is not Lonely.