275日目。あまり自慢できることではないですが、ボクはよく一人で喋ったり歌ったりしています。一人暮らしの自宅で、例えば朝なら「あー良く寝た。わっ、もうこんな時間?! 遅刻しちゃう! って、雨かよ、おい?! 休みてー!」みたいなことを、脳内だけでなく、実際に発声しながら部屋の中をウオーサオーします。あと歌もよくうたいます。主に風呂場やトイレなどで、カラオケで歌うくらいの音量で、バカになった蛇口から吹き出す水のように、思いついたメロディーを熱唱します。45歳です。ヤヴァいでしょうか? チョンガーです。ヤヴァいでしょうか? でもカミングアウトしていないだけで、周りに誰もいないひとりの時間に、喋ったり歌ったりしている人は意外と多いのではないかと思うのです。例えばこのお巡りさんみたいに。
下の動画は、アメリカのデラウェア州でパトロール中のお巡りさんが、運転しながらカーステから流れる曲に合わせて、ノリノリで振り付け&口パクする姿を、ダッシュボードの監視カメラが録画していたもの。先週警察署の同僚がYouTubeにアップし、すでに2700万の再生数を超える人気動画として話題を集めています。
ギザカワユス!(←古い) なんつーか、ハゲてても太ってても(←失礼)、人柄さえ明るければ、こんなにキュートなオジサンになれるというお手本のようなキャラクターですな。オレが一人で歌ってる画は、キモいだけで絶対こんな愛らしさはないな。マジ見習いたいと思います。
ところでお巡りさんをノリノリにさせているこの歌は、245日目にも紹介したテイラー・スウィフトの『Shake It Off』。一度聴いたら忘れられないキャッチーで軽やかなメロディラインと、「みんな私のこと、こう思ってるんでしょ?」という客観的な自分像を逆手に取ったリリックも楽しい、テイラーちゃん会心のナンバーです。昨年8月にリリースされ、即座にビルボードでナンバーワンを獲得。今年のグラミーでも最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞にノミネートされております。
この楽曲は評論家からの評価も高く、リリース当時は各誌で「完璧な楽曲」「上質でポップなお菓子のよう」などと書き立てられておりました。そして今週、カナダのピアニスト兼ソングライターにして、「Feist」のプロデューサーとしても有名なチリー・ゴンザレスが「なぜこの曲はこれほどまでにキャッチーなのか?」を検証した動画が、YouTubeに公開されました。
曰く、1:明確で昇降のあるメロディラインを繰り返すこと、2:和音をフレームにしてメロディを絵のようにはめ込むこと、3:曲名を繰り返し最後にスナップを効かせること、がキャッチーな曲作りのコツで、テイラーちゃんはそれらを理解し、実践しているとのこと。なるほどー。
夜遊びばっかしてて
頭はからっぽ
みんな私のことそう思ってるいろんな男とデートを繰り返して
誰とも長続きしない
みんなそう思ってるんでしょ?でもこれからもそうするの
やめられないしやめる気もない
頭の中で音楽が鳴ってるの
「このままでいいよ」って言ってる遊び人は遊んでばっかだし
私をキライな人はどうしたって嫌うでしょ
そんなのはシェイクして振り払えばいい
傷つける人は傷つけるし
嘘つきは嘘ばっかりだし
そんなのはシェイクして振り払っちゃうわビートを逃さずにいたら
足元がどんどん軽くなってくる
みんなには分からないみたいひとりで踊ってたら
どんどん激しくなってきちゃうの
みんなは知らないみたいだけど嘘つきや世の中の汚いモノのせいで
落ち込んでたってしょうがないでしょ?
それよりもこのビートに乗ってみようよ元彼が新しいガールフレンドを連れてたわ
彼女ビックリするくらい可愛いの!でもどうでもいいわ
それよりそこの超カッコイイ髪型の男の子
コッチこない? 一緒にシェイクしようよ!
名曲とは、年代、性別、言語を超えて、「楽しい」「悲しい」「恋しい」というシンプルなエモーションを、みんなに等しく提供できる楽曲を指すのでしょう。そういう点において、この曲は明らかに「名曲」だし、冒頭のお巡りさんのあの愛らしさも、結局はこの曲の「実力」あってこそなのかも知れません。