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【無人島276日目】Diana Krall 『If I Take You Home Tonight』

投稿日:2015年3月3日 更新日:

276日目。「日本はあと20年で65歳以上の割合が全体の3分の1になります!」なんつう報告を最近テレビで拝見し、「3人に1人がジイさんバアさんってスゲー国だな、おい!」と思いましたが、20年後には自分もその3分の1の1人なのだと気付き愕然としてみたり。かたや、「人生80年として、平均20歳までは親に扶養してもらっているので、80−20で独り立ちした後の人生は60年。そう考えると50歳(20歳からの30年)はちょうど折り返しにあたる年齢。まだまだこれからですよ!」というご意見もネットで拝見し、「なんだ、オレはまだ半分にも達してないのか!ふんふん!」と安心してみたり。時間は怠惰な青虫のように、伸び縮みしながらも遅々として進まず、安心しきっていると不意の突風に巻かれて、思いがけず先のほうまで来てしまったり。そしてふと先を見ると、ボクよりも遥かに長く生きてきた青虫さんが、まだまだシャキシャキ歩いている姿を見て、「これじゃイカン!」と発奮させられたり。

サー・ポール・マッカートニー。「ポピュラー音楽史上最も成功した作曲家」としてギネスにも登録されている御仁も御歳72。日本人で言うと小泉元総理やカルーセル麻紀と同級生(←分かりづらい)なワケですが、今もバリバリ現役で、最近特に若いアーティストとのコラボに精力的です。

まず昨年の大晦日にiTunesで配信スタートした、カニエ・ウェストさんとのコラボ曲『Only One』。ポール爺はプロデュースと共作、オルガンの伴奏を務めています。カニエさんの亡母と娘を繋ぐ歌詞が秀逸で、リリース直後からその良曲っぷりがネットでも大きな話題になりました。

その3週間後の1月末に、今度はリアーナも入れた3人で『FourFiveSeconds』を発表。ポール爺は共作とアコースティックギターを担当しています。先月のグラミー賞でも3人で演奏し、元気な姿を見せてくれました。

そして先月リリースされたジャズシンガー、ダイアナ・クラールの新作『Wall Flower』にも楽曲を提供。ダイアナさんが全曲参加したポール爺の2年前のアルバム『Kisses On The Bottom』のために、ポール爺が書き下ろしたけれど未収録になった楽曲だそうで、今回ダイアナさんのボーカルでようやくお披露目になったとのこと。『Wall Flower』の中でもちょっと他の曲とは佇まいの違う、瑞々しくもフラジャイルな印象の小品です。

もし今夜 君を連れて帰れたら
君にあてて何を歌おう
喜びと光に満ちた音楽
もし今夜 君を連れて帰れたら

もし 僕の想いを告げたら
怖がるだろうか 逃げ出すだろうか
この愛は本物なのに
もし今夜 君を連れて帰れたら

愛しい人よ 大切にしたい
今夜 君を連れて帰りたい

もし 手をつないでくれたら
君と行きたい場所があるんだ
想像もつかない 素敵な場所

もし 手をつないでくれたら
愛しい人よ 大切にしたい
今夜 君を連れて帰りたい

老いてもトレーニングを続けることでいつまでも健脚を保つ人がいるように、きっと「感性」もその瑞々しさを保つためには、絶え間ない努力が必要なのでしょう。本を読む。音楽を聴く。若い人と新しいことにチャレンジする。古希を過ぎてもなお、こんなラブソングを描けるポール爺のようになるために、ボクも今をうかうかしててはいけないと思うのです。

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