276日目。「日本はあと20年で65歳以上の割合が全体の3分の1になります!」なんつう報告を最近テレビで拝見し、「3人に1人がジイさんバアさんってスゲー国だな、おい!」と思いましたが、20年後には自分もその3分の1の1人なのだと気付き愕然としてみたり。かたや、「人生80年として、平均20歳までは親に扶養してもらっているので、80−20で独り立ちした後の人生は60年。そう考えると50歳(20歳からの30年)はちょうど折り返しにあたる年齢。まだまだこれからですよ!」というご意見もネットで拝見し、「なんだ、オレはまだ半分にも達してないのか!ふんふん!」と安心してみたり。時間は怠惰な青虫のように、伸び縮みしながらも遅々として進まず、安心しきっていると不意の突風に巻かれて、思いがけず先のほうまで来てしまったり。そしてふと先を見ると、ボクよりも遥かに長く生きてきた青虫さんが、まだまだシャキシャキ歩いている姿を見て、「これじゃイカン!」と発奮させられたり。
サー・ポール・マッカートニー。「ポピュラー音楽史上最も成功した作曲家」としてギネスにも登録されている御仁も御歳72。日本人で言うと小泉元総理やカルーセル麻紀と同級生(←分かりづらい)なワケですが、今もバリバリ現役で、最近特に若いアーティストとのコラボに精力的です。
まず昨年の大晦日にiTunesで配信スタートした、カニエ・ウェストさんとのコラボ曲『Only One』。ポール爺はプロデュースと共作、オルガンの伴奏を務めています。カニエさんの亡母と娘を繋ぐ歌詞が秀逸で、リリース直後からその良曲っぷりがネットでも大きな話題になりました。
その3週間後の1月末に、今度はリアーナも入れた3人で『FourFiveSeconds』を発表。ポール爺は共作とアコースティックギターを担当しています。先月のグラミー賞でも3人で演奏し、元気な姿を見せてくれました。
そして先月リリースされたジャズシンガー、ダイアナ・クラールの新作『Wall Flower』にも楽曲を提供。ダイアナさんが全曲参加したポール爺の2年前のアルバム『Kisses On The Bottom』のために、ポール爺が書き下ろしたけれど未収録になった楽曲だそうで、今回ダイアナさんのボーカルでようやくお披露目になったとのこと。『Wall Flower』の中でもちょっと他の曲とは佇まいの違う、瑞々しくもフラジャイルな印象の小品です。
もし今夜 君を連れて帰れたら
君にあてて何を歌おう
喜びと光に満ちた音楽
もし今夜 君を連れて帰れたらもし 僕の想いを告げたら
怖がるだろうか 逃げ出すだろうか
この愛は本物なのに
もし今夜 君を連れて帰れたら愛しい人よ 大切にしたい
今夜 君を連れて帰りたいもし 手をつないでくれたら
君と行きたい場所があるんだ
想像もつかない 素敵な場所もし 手をつないでくれたら
愛しい人よ 大切にしたい
今夜 君を連れて帰りたい
老いてもトレーニングを続けることでいつまでも健脚を保つ人がいるように、きっと「感性」もその瑞々しさを保つためには、絶え間ない努力が必要なのでしょう。本を読む。音楽を聴く。若い人と新しいことにチャレンジする。古希を過ぎてもなお、こんなラブソングを描けるポール爺のようになるために、ボクも今をうかうかしててはいけないと思うのです。