145日目。結構こういうことを言うヤツは多いので、バカっぽい自慢話に聞こえるとイヤなのですが、ボクには売れる曲や人気の出るアーティストを見つける特殊能力があります。ドラえもん的に言うと、「売れ線サー!(ドラちゃんの声で)」。好き嫌いに限らず、一聴しただけでヒットする音楽を嗅ぎ分けられるのです。バカっぽい? いやいや、ホントだって。子供の時には演歌「氷雨」のヒットを親に約束し、学生のころには出始めだった「ドリカム」を聴いて、彼らの未来の活躍を友人に予見し、最近では波に乗る前のノラ・ジョーンズやジェイムス・ブラントなどを、ボクの「売れ線サー」は確実にキャッチしてきました。まあ、ただ単にその音楽やアーティストにそれだけの力があったっつう話なんですが、そんなボクの「売れ線サー」に今年早くもビンビンにかかってくる大物がおります。ビンビンっす!
Adele。アデルと呼びます。イギリスはサウス・ロンドン出身の弱冠19歳。正式にデビューしたのは、半月前ですが、ボクの「売れ線サー」ごときにひっかかるまでもなく、すでにイギリスでは大注目株のニューカマーです。
一昨年の春にパフォーミングアーツの学校であるBritスクールを卒業後、仲良しの友達らとライブをしたり、MySpaceで自作の曲をアップしたりしていましたが、その楽曲と声の良さからネット上で火がつき、昨年10月にビニール盤で作った生産数限定シングル「Hometown Glory」は即日完売。iTunesの「今週のシングル」に選出され、その2ヶ月後には、イギリスの老舗音楽番組「Later With Jools Holland」に出演。ポール・マッカートニーやビョークなどと競演し、一気に知名度を上げます。
彼女の曲と声は、特に評論家たちに大絶賛され、各音楽雑誌は「立ち止まらずにいられない声」「絶対的に美しい」などと、ベタ褒めのコメントを掲載。そしてつい2日前に発表されたイギリスのグラミー賞にあたる「Brit Awards」では、アルバムリリース、つまりデビューから2週間にして「クリティック・チョイス(評論家)賞」を受賞してしまいました。
先月末にイギリスでリリースされた彼女のデビューアルバム「19」は、ジャズでもあり、フォークでもあり、ソウルでもある、奥行きの深い世界です。エタ・ジェームスでもあり、エイミー・ワインハウスでもあり、ノラ・ジョーンズでもあり、ビョークでもあります。11曲すべてが立っていて、どの曲も、なんというか「生きている」感じがします。嘘っぽさがないというか、どうしようもなく溢れ出てきた言葉を、メロディーに乗せて吐き出してみた、という切実さがあるのです。だからと言って、計算されていないということではなく、そのエモーショナルな部分と、音楽としてのエンタテインメントな部分が、見事なバランスを取っているところが素晴らしい。
そして声。優しさと切なさを包容力を有したその独特の声は、確かに新人らしからぬ堂々とした歌唱力ではありますが、その圧倒的な歌声の中に確かに19歳の、戸惑いと恥じらいを隠し持っているところにボクはメロメロです。ここ数日、この人の歌しか聴いていません。アルバムからのシングルカット「Chasing Pavements」をどうぞ。ホント素晴らしい。
今月、来日の予定もあったのですが、本人の体調不良により延期されました。今度来たら絶対ライブいきます。これで「売れ線サー」が反応しなかったら不能、って感じのリアル大物。絶対くる。ビンビンっす!