5日目。さて、無人島に夜が訪れました。真っ黒なシーツの上に、ビーズを撒き散らしたみたいな星空。エアコンのおやすみモードみたいな優しい夜風。そしてどこからか聴こえてくるヒップでホップなメロディ。なんだろ? 音色に操られるように歩いていくと、なんと森の中に1軒のバーが。無人島じゃねえの? おそるおそるドアを開けてみると、一匹の小熊がカウンターの中でせっせっとターンテーブルを回していましたYO。頭がでかすぎDEATH。掛かっているのは、もちろん蟹江DA!
カニエ・ウェスト。もう今さら説明する必要もないほどビッグになりました。ジェイ・Z、ブリトニー、アリシア・キーズ、リュダクリスなどを手掛けた人気プロデューサーで、昨年リリースした自身のファーストアルバムではグラミーを3つも穫り、TIME誌で「最も世界に影響を与える100人」に選ばれたりしている人気者です。ハリケーンの時には、政府の対応を非難して話題を集めたりしてましたね。
でもみなさん、ラップって好きですか? ボクは正直言って、あんまよくわからんのです。だって英語聞き取れないし。聞き取れても意味わかんないし。アメリカの一部のものすごく狭いカルチャーの中でだけでしか、理解されない音楽なんじゃないかと思うんですよね。
辞書には載っていない造語的スラングを多用し、単語の韻を踏みながら、みんなが面白がるかっちょいいライムを、いかに噛まずにリズム良く話すかってのは、音楽というよりは、別の芸なんじゃないんすかね? 日本で言ったら、お笑いとかに近いような気がします。オリエンタルラジオとか。あれラップっぽくね?
でもここまで人気があって、今じゃビルボードチャートの半数はラップかヒップホップかって言われる時代です。「わからん!」で切り捨ててしまうのもどうかなと。で、久々に聴き込んでみました。カニエのニューアルバム「Late Registration」。
同じく人気プロデューサー、ネプチューンズのファレルなんかに比べると、ずいぶん中庸な感じ。特にものすごく新しいことをしている感じはしないし、ラップもメローかつスローなものが多いです。でもサンプリングはむちゃむちゃ巧いし、素直に聴いていて気持ちいいアルバムです。さすがDEATH。YO。
でもやっぱ英語がネイティブだったら、もっと面白いんだろうな。いきなり歌詞の中で、「Lipo」って単語が出てきて、それが「Liposuction」の略で意味は「脂肪吸引」だってことが瞬時に理解できるやつじゃないと、リアルな面白さはわからんでしょう。「あんちゃん、かっこいー!」の面白さが多分外国人には理解されないのと同じで。