4日目。水平線の向こうにでっかい夕日がずぶずぶと沈んでいったあと、わずかに残っていたオレンジのテリトリーを、スクラムを組んだ群青があっという間に塗りつぶしていきます。たとえこれからどんな楽しい夜のイベントが待っていようとも、ホンの一瞬、この時間だけはうちに帰りたくなるのはなぜでしょう? 太古から受け継いだDNAのせいか? そんな愚にもつかないことを考えていたら、このCDが聴きたくなりました。
中(あたり)孝介は、奄美大島出身で、もともとインディーズで活躍していた島唄の唄者でしたが、今年10月に初のポップス系ミニアルバム「マテリヤ」をリリースしました。
今年の秋口に偶然立ち寄った新宿HMVで、たまたま彼のインストアライブに出くわしまして。それがもうクラクラするほどよかったんです。島唄独特のこぶし。地声すれすれのファルセット。クセのある歌い方なのに、それを感じさせないストレートな声。ちょっと会場をシンとさせてしまうほどの、雰囲気のある歌声です。もうあんまりカンドーしたので、ライブのあと女の子だらけの長い列に並び、サインもらってきちゃいました。いや、もうこの年になるとあんま恥ずかしいもんとかないっすね。もらっとけ、もらっとけって感じで。
特にボクのお気に入りは、このアルバムの1曲目に入っている「家路」。最近J-WAVEの「JAM THE WORLD」のエンディングテーマとしても使用されています。朝でも夜でも、この曲を聴いていると目の前にドバーッと夕暮れが広がっちゃうくらい情景の浮かぶ名曲です。
黄昏、家路、夕餉の匂い。チョンガーなボクには縁のない風景だから、憧れてるだけなのかもな。さ、パーッと飲みにでもでかけるか。飲んどけ、飲んどけ。