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【無人島21日目】サンタラ “WAIT, CATCH & RUN”

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WAIT,CATCH&RUN

WAIT,CATCH&RUN

  • アーティスト: サンタラ, 田村キョウコ, 森俊之, 砂田和俊
  • 出版社/メーカー: ERJ
  • 発売日: 2006/04/12
  • メディア: CD




21日目。ボクの音楽的嗜好は幅広く雑食で、ジャズもロックもパンクもフォークもエレクトロニカも全部好物。全部食える。クラッシックだって演歌だってカントリーだってアイドルだって、全然食える。モグモグ食える。逆に同じものばっか食ってると、お腹がピーピーになるので、犬が草を食むごとく、ワザといろいろ食い散らかしてるってとこもあります。特に「ちょっと暗めで、アコースティックで、歌詞が渋くて、声のいい女性ボーカルの歌」ってのを聴くと、ジャンル構わず、パブロフさんちの犬のごとく、ダラダラとヨダレが止まらなくなります。最近だと以前の無人島で紹介した「コリーヌ・ベイリー・レイ」なんかがまさにソレ系の大好物なんですけど、日本人でソレ系だと、最近のお気に入りはこのユニット。モグモグタイム。



サンタナじゃなくて、サンタラ。2004年にデビューした、ボーカルの田村キョウコさんと、アコースティック・ギターの砂田和俊さんの2人ユニット。今年の4月にこのセカンドアルバム「WAIT, CATCH & RUN」をリリースしました。「ちょっと暗めで、アコースティックで、歌詞が渋くて、声のいい女性ボーカル」の典型で、音的にはフォークとブルースとポップスのミックスですが、その詞世界と曲調はジョニ・ミッチェルやリッキー・リー・ジョーンズの系譜かと。田村キョウコさんの、いい意味で、今井美樹が酒とタバコで喉をつぶしたようなボーカルも、抜群に素敵です。

曲は全曲オリジナル。主に砂田さんの紡ぐ、ブルース調でキャッチーなメロディラインも秀逸ですが、やはり特筆すべきは、主にキョウコさんが描く、シュール・リアリズムな詞世界でしょうか。


君の選んだ言葉は何気ないくせにいつも、思いがけないほどにセンスがいい。(密会)

この部屋の暑さは香港映画のようだ。(家出少年)

空腹な男の姿はなんてロマンチックで惨めだろう。(ROW THE BLUES)

カーニバルには日常が必要よ。(My name is Boogie)

困り果てた人たちは皆、すぐに眠ってしまうのだという。(Sleeping Song)


かっこよくね? どれもまるで、質のいい短編小説の書き出しみたい。ハッとするようなフレーズと、それだけで終わらずにキレイに着地する、ちょっとハードボイルド風ショートショートのようなリリックの数々。うーん、素晴らしい。

一度ライブも観に行ったことがありますが、なんつうか、好きな音楽を好きな人たちと演って、それをいいって言ってくれる人たちが聴きにきて、いいねって言ってもらえればそれでいいの、みたいな、大人な感じのステキなライブでした。愛だの恋だの、ホレタだのハレタだのっていうキャンディー・ソングが街に溢れる中、たまにはこういう歯ごたえのある音楽が聴きたくなるんですな。モグモグタイム。

-CD

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