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【無人島155日目】Justin Nozuka “Holly”

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Holly

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  • アーティスト: Justin Nozuka
  • 出版社/メーカー: PIAS
  • 発売日: 2008/04/15
  • メディア: CD

155日目。世の中にはブラーザーズ&シスターズで活躍しているミュージシャンってのは、結構おります。マイケル&ジャネット、狩人、鳥羽一郎&山川豊、エドワード&アレックス・ヴァン・ヘイレン、ザ・チェッカーズの藤井兄弟、ハートのアン&ナンシー・ウィルソン、倖田來未&misonoなどなど、古今東西問わず思いつくまま上げてもこのくらいは浮かびます。でもみんな、同じバンドでやってたり、ピン同士でも音楽性やジャンルは一緒だったりするのは、やはり兄弟姉妹という血の由来なんでしょうか。そりゃ、育ったきた環境が一緒ならそうなるのも当然やも知れんが……などと思っておりましたが例外もいらっしゃるようです。例えばこの二人。

音楽の趣味がバッチリ一致という意味で、圧倒的な信頼を寄せているボクの友人が先日、「Justin Nozukaっちゅう新人さんが素晴らしい」というようなことを言っていたので、一も二もなくCDを購入して参りました。どれどれ、早速聴いてみましょう。

なるほど、いいですな。James BluntやJames Morrisonの系譜で、アコースティックなサウンドにソウルフルなボーカル、飾り気のないシンプルなスタンスに好感が持てます。「Nozuka」というラスト・ネームからして、日系もしくはミックスなんでしょうが、日本人特有の線の細い声質が、逆に彼の歌の持ち味になっているような気がします。
んー、でもこの人どっかで見たことあるな。顔知っとる。うーんと……って早速ネット検索してみると、なるほど、ボクが見たことあるのは、お兄ちゃんのほうでした。George Nozuka。アーティスト名としては「George」として活躍している、R&Bシンガーです。

ワハハ! おまえら、顔そっくりやんけ! んでもって、やっとる音楽まったくちゃうな! この「Nozuka」ブラザーズは、日本人の父とアメリカ人の母から生まれたハーフで、現在はカナダ国籍のミュージシャン。ちなみにお兄ちゃんのジョージ君は日本名「こういち」で22歳、弟のジャスティン君は「ときみつ」で19歳。「Nozuka」は「野塚」ではなく「能塚」らしいです。
お兄ちゃんの方が、一足先に06年メジャーデビュー。デビューシングル「Talk To Me」がスマッシュヒットし、今年になり新曲「Stay Up」がカナダの音楽チャートでナンバーワンを獲得。母国では新星R&Bシンガーとして、すでに不動の人気を集めております。
普通そんなお兄ちゃんが側にいたら、「オレも兄ちゃんみたくなるべさ!」って感じで弟も「Hey Bro, Yo!」とか始めそうな気がするのですが、ときみつ君は全くそんなことなく、黙々と自分の道を歩き始めます。12歳の頃からオリジナル・ソングを書き始め、学生時代はミュージカルに挑戦していたのだとか。その後プロのミュージシャンと知り合い、メジャーデビューの話を持ちかけられるも、「好きにやりたいから」という理由で、インディーズで活動。昨年「After Tonight」という曲が、アメリカの音楽番組で取り上げられ話題になり、インディーズで作ったこのファースト・アルバム「Holly」がメディアでも取り上げられるようになりました。クリティックスでの評価も高く、カナダのグラミーといわれる「Juno Award」で、本年度の新人賞にノミネートされました。
顔は良く似ていますが、まったく音楽性の違うこの兄弟。ちなみに能塚家には他にもブラーザーズ&シスターズがいて、みんな役者やダンサーなど、ジャンルの違う、でも「エンタテインメント」の世界で活躍しておるのだとか。そもそも反発し合いながら同じ潮流に巻かれて生きるのが兄弟姉妹。だとしたら、別々のことをするほうがオモロイし、むしろ自然なのかもしれません。いつか時間が経ち、図らずも同じ場所にたどり着いた時、この兄弟がどんな音楽を一緒に奏でるのか、今からちょっと楽しみなのです。

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