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【無人島141日目】さとうもとき “旅人に問う”

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旅人に問う

旅人に問う

  • アーティスト: さとうもとき
  • 出版社/メーカー: AKARI Records
  • 発売日: 2006/07/23
  • メディア: CD-R


141日目。先週末にぼんやりとテレビをつけていたら、大阪のホストクラブのドキュメンタリー番組がやっておりました。軽くてチャラいイメージのホストたちが、意外にも懸命に人生を生きている姿を、ある店のオーナーと店員たちの確執を絡めながら映し出す、なかなか硬派な番組で、宮崎あおいの落ち着いた声のナレーションも心地よく、見るともなしに見ていたのですが、番組の後半あたりでとても印象的な歌がBGMで使われておりました。ナレーションや他の音声と被って、なかなか全部は聴き取れないのですが、こんな感じの歌詞だったのです。



「時にわたしは思わず/平気で嘘をついたりします/自分を大きく見せようとして/平気で嘘をついたりします/時にわたしは思わず/見て見ないフリをします/厄介事に関わるのを避けようとして/見て見ないフリをします……」。

まるで懺悔を捧げるかのように、自分が思う「罪」を列挙するその歌が、ちょうど番組の中で欲と仁義の狭間で惑うホストたちの姿とぴったり重なって、実に効果的に使われておりました。ほんの数秒、出だしのフレーズを聴いただけで、ボクはすっかりこの歌が好きになってしまい、番組そっちのけでネットで歌詞を検索すると、この歌はインディーズで活動する「さとうもとき」というシンガーソングライターの「私の卑しき魂よ」という歌であることが判明。ちなみに全詞を掲載すると、こんな歌でした。




時に私は思わず

平気でウソをついたりします

自分を大きく見せようとして

平気でウソをついたりします

時に私は思わず

見て見ないフリをします

厄介事に関わるのをさけようとして

見て見ないフリをします

時に私は思わず

人のアラ探しばかりします

自分のダメさを隠そうとして

人のアラ探しばかりします

時に私は思わず

適当に話を合わせたりします

腹の中を見せずに

いい人のフリをしたりします

そして私は思わず

人を妬んだり嫉妬したりします

友達の成功や努力を認めずに

妬んだり嫉妬したりします

時に私は思わず

笑ってごまかしたりします

作り笑いを浮かべて

その場になじんでしまったりします

時に私は思わず

言葉で人をやりこめようとします

自分の心を守るために

人の痛みを無視したりします

時に私は思わず

快楽ばかり求めたりします

その場が良ければいいと

こんなの愛でも恋でもなんでもありません

時に私は思わず

やさしい人を演じたりします

本当は自分が一番

自分が一番かわいいくせに

そして私はいつも

君に八つ当たりばかりします

自分で解決しなければならないのに

君にあまえてばかりいます

ああ私の中の卑しき魂よ

どれだけ年を重ねたら

消えて無くなるだろう

ああ私の中のよどんだ魂よ

どれだけ歩いたなら

薄れてくれるだろう

時に私は思わず

悲しいのに笑ったりします

弱い奴と見られぬよう

悲しいのに笑ったりします

そして私はいつも

うまくいってる顔をします

あなたにあわれに思われぬよう

うまくいってる顔をします

ああ私の中の卑しき魂よ

どれだけ年を重ねたら

消えて無くなるだろう

ああ私の中のよどんだ魂よ

どれだけ歩いたなら

薄れてくれるだろう

それでも私は

ここで生きていくのです

こんな私でも

一人で生きてるわけじゃない

こんな私でも

一人で生きてるわけじゃない

それでも私は

ここで生きていくのです




嘘をつくこと。嫉妬すること。作り笑いすること。見栄をはること。ボクらの誰もが持っていて、ある意味人間として当然だと思えることを、あえて「卑しい」と呼ぶその頑なさに、なぜかボクのハートは打たれます。みんながなんとも思わずやり過ごしていることを看過できず、真夜中にひとりノートに自分の「卑しさ」を枚挙する自傷行為は、自分の体についた汚れをナイフで削ぎ落とすような、痛みを伴うストイックさを感じます。

さとうもとき氏は、北海道は室蘭出身の39歳。18歳で上京して以来、数々のバンドを経て、現在はソロで活動するシンガーソングライターです。ボクは早速ネットから、この「私の卑しき魂よ」が収録されている最新シングル「旅人に問う」を購入しましたが、遠藤賢司や友部正人といった大時代なフォークの匂いもするし、ボクの敬愛する野狐禅やTHE武田組のような、新しい言葉でストイックな精神を歌う歌い手さんとも近い感じがします。技巧うんぬんよりも、きっとエモーションで歌いきるシンガーさんかも知れません。ライブで見るとよさそうだな。

個人的には「そして私はいつも/うまくいってる顔をします/あなたにあわれに思われぬよう/うまくいってる顔をします」という箇所に、グッサリ刺されました。自分でもそうと気づいていなかったことを見事に指摘された時のような、ボク的にドキッとする言葉です。そうなのか?オレ。うまくいってる顔してんのか? そんなことを自問する、雪の午後なのです。


さとうもとき HP

http://www.h4.dion.ne.jp/~motoki/index2.html

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