CD

【無人島13日目】野狐禅 “ガリバー”

投稿日:

ガリバー

ガリバー

  • アーティスト: 野狐禅
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2006/06/21
  • メディア: CD


13日目。残ったものはくたびれた約束と、ゆがんだ足跡と、いつかのあの歌。忘れるためなのか覚えておくためなのか、夕べは夕べでこれまた必要以上に飲んだ。「朝日に照らされれば照らされるほど、暗くなってゆくものってな〜んだ?」「答えはこの暮らしで〜す」とかなんとか、ブツクサ言いながらカーテンを開けた。窓の外、ボンヤリと、ボンヤリと街の教会の、十字架…、十字架…、ジュウジカ…、じゅうじか…、ジュウジ…か、十時…か、もう十時か、もう十時か!ヤベェ、バイトまた遅刻だ!!



一体全体、なんの話かとお思いでしょうが、これは昨日リリースされた野狐禅のニューアルバム「ガリバー」に収録されている「じゅうじか」という曲の1番の歌詞です。ちなみに2番はこんな感じ。


残ったものはくたびれた約束と、ゆがんだ足跡と、いつかのあの歌。爽快感ゼロ。粘ついた労働の汗に、給料袋ペタンと貼付けて、ため息ひとつ。夜道を歩く。ため息ふたつ。トボトボ歩く。ああ、こんな時一心不乱、神様にすがりつけるような強い人間だったらなぁ。見上げれば、ボンヤリと、ボンヤリと街の教会の、十字架…、十字架…、ジュウジカ…、じゅうじか…、ジュウジ…か、十時…か、まだ十時か…、まだ十時か…。どっかで一杯やっていこうか。


真剣に悩んだり苦しんだりしていても、思考って長くは続かないし、さっきまでずっぽり落ち込んで頭を抱えていたのに、いつの間にか別のことでケラケラ笑っている。でもそれはそれでいいんじゃね? っていう歌なんだと思います。

ボクの野狐禅フリークぶりは、以前の無人島でも書きましたが、彼らへのこの溢れる愛情を言葉にしようとすると、なかなかどうして、うまいこといきません。その「生きる」ということへの飢餓感を激烈に書き綴ったリリック? 歌うというよりも叫びに近いスタイルで、ある意味天才的とも思われるボーカル? あんなに言葉数の多い歌詞を吐き出しているのに、それでもまだまだなにかが足らないらしく、いかんせんヘタレ、その焦燥感で掻きむしっているようなギターとピアノの悲鳴のような演奏? そんなことははっきし言って別にどうでも良いのでございます。問題は、そういう理屈的なモノを超えた部分で、彼らの作る音にボクの中の、カテゴライズできないこの感情が、ゴーゴーと共鳴しているかどうかなのでございます。そっかそっか、そりゃそうだよなぁ。

って、野狐禅の歌詞を無理矢理に引用しつつ、書いてみた。分かる人にしかわからん文章です。すみません。好き過ぎなんで、レビューになんないです。「分析」っていう言葉は、きっと熱の冷めた人が発明したんでしょう。ならば、ボクは、死ぬ間際でいいんです。野狐禅を上手に分析するのは、死ぬ間際でいいんです。

-CD

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

no image

【無人島10日目】Akeboshi “Yellow Moon”

Yellow Moon アーティスト: Akeboshi 出版社/メーカー: ERJ 発売日: 2006/04/19 メディア: CD 10日目。基本的に新しいモノ好きで、2週にいっぺんくらいはCDシ …

no image

【以前の無人島39日目】Matt Costa “Songs We Sing”

Songs We Sing (Dig) アーティスト: 出版社/メーカー: Brushfire Records 発売日: 2006/03/28 メディア: CD 39日目。某ソーシャルネットワーキング …

【無人島242日目】ブレッド&バター 『あの頃のまま』

あの頃のまま 242日目。先週末、中学校時代の同窓会に参加してまいりました。ボクは小中併設の学校に通っていたので、中学時代の友人はそのまま、幼少時からの竹馬の友になるワケなのですが、5〜6歳の頃から見 …

no image

【無人島116日目】サケロックオールスターズ “トロピカル道中”

トロピカル道中 アーティスト: サケロックオールスターズ 出版社/メーカー: CHORDIARY 発売日: 2006/08/09 メディア: CD 116日目。暑かった夏も、徐々に帰り支度を始め、空の …

no image

【以前の無人島3日目】Paul Anka “Rock Swings”

Rock Swings アーティスト: 出版社/メーカー: Verve 発売日: 2005/06/07 メディア: CD さて、無人島!海!ビーチ!とくれば、やっぱ酒がほしいですな。ビールもいいけど、 …