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【無人島18日目】よしもとばなな “なんくるない”

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なんくるない

なんくるない

  • 作者: よしもと ばなな
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/11/25
  • メディア: 単行本


18日目。ただいまー。沖縄から帰ってきました。いやー、楽しかったさー。前半は台風でしたが、おかげでいろんなものをスパッと諦めて、腰を落ち着けてゆっくり飲めたし、台風が去ってからは天気も上々で、無駄になるかと思った日焼け止めローションもジャブジャブ使って、そんでも真っ黒になって帰ってきました。今回10年以上ぶりの沖縄でしたが、やっぱステキな土地だなあと思った。沖縄の魅力って、いろんな人が語ってるけど、ボクはなんとなく、嫌われないところかなーなんて思います。沖縄大っキライ!って人、会ったことないし。正直洗練はされてないし、交通は不便だし、ゴキブリでかいし、息苦しいほど暑い日もあれば、台風で表に出られないような日もあって、ネガティブにさせる要素もたくさんあるけれど、でも憎めない。周りにたまにいる、個性が強くて、わがままだったりするけど、誰からも好かれている不思議な人って感じ。たぶん内面から溢れ出る愛らしさみたいなものを、沖縄は持っているのかなーと。



よしもとばななの沖縄を舞台にした短編集「なんくるない」。「なんくるない」とは、沖縄の言葉で「大丈夫」「なんとかなる」といった意味らしく、違うかもしれないけど、タイ語の「マイペンライ」に近い感じの言葉でしょうか。

4編のストーリーの主人公は、みんなナイチから沖縄に遊びにきた観光客。束の間の滞在中に出くわした、なんともないけれど、でもちょっと不思議な、沖縄以外ではありえなかったであろう、おとぎ話的なお話が収められています。ばなな氏の作品には、バリ島を舞台にした「マリカの永い夜」や、南米を題材にした「不倫と南米」など、いわゆる「ご当地小説」が数多くありますが、これはその沖縄版。ホント南国が好きなんですね、この人。

ボクの勝手な意見ですが、ばなな氏の「ご当地小説」って、彼女が現地を旅している間に、実際に目にしたり耳にした話、起こった出来事、出会った人々などを直接取り入れようとしているので、限りなく私小説に近い風体になっていて、話自体の展開よりも、描きたいひとつの風景や出来事が先にあって、それを小説化するために、後からストーリーをくっつけました、って感じ。だから、小説自体の完成度もマチマチで、描きたい風景と、付け足したストーリーが巧くマッチしてるものもあれば、「んー?」ってのも結構あったり。

この「なんくるない」に入っている話の中で、ボク的に一番好きな「足てびち」って話は、彼女の実際の友人で、沖縄在住のカメラマンの垂見健吾氏とその奥さんを題材にしているらしいのですが、もう小説っていうよりは、ほぼエッセイ、というか日記。それでも読み終えた後に、一緒に旅行に行ってきたような、心地よい疲労感と切なさをもたらしてくれるのは、彼女がやはり才能ある小説家だからなのでしょう。今年出版された、沖縄にまつわる短文をまとめた「なんくるなく、ない」というエッセイ集を読むと、この小説がさらに深く理解できます。

たった1週間程度の旅行でしたが、東京に戻ってきて感じたのは、「東京って人がみんな、でら冷たいさー」。旅行中、沖縄で知り合った人や、ちょろっと会話しただけのお店の店員さん達が、いかに感じのいい優しい笑顔で接してくれてたかを、帰ってきてから実感しました。それが誰からも愛される理由なんでしょうな。沖縄、ありがとー。また行くさー。

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