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【無人島35日目】竹原和生 “片岡は夏のにおい―中学2年の夏休み”

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片岡は夏のにおい―中学2年の夏休み

片岡は夏のにおい―中学2年の夏休み

  • 作者: 竹原 和生
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 単行本


35日目。風が気持ちいいなあと思ったら、いつのまにか9月になってました。陽射しのスイッチが、明らかに「強」から「中」になり、しつこい蝉の鳴き声も、どっか気弱でお互いに励まし合ってるみたいに聞こえます。他の季節の終わりよりも、夏の終わりはその背中がはっきりしていて、だからこそ切ないですな。短くも鮮やかだった季節のエンディング。そんな時、ふと口ずさむのはこんな歌。♪なみだにハンカチが〜さしだされたというよりは〜ハンカチになみだが〜さしだされたような〜。



我らが「野狐禅」のボーカル・竹原ピストルが今月、本名である「竹原和生」名義で上梓した詩集。いや、もう野狐禅ファン以外はまったく度外視なチョイスで申し訳ないですが、紹介せずにはおられません。

中学2年生のボクと、その友達の「片岡」との、破天荒なひと夏を38の詩で編んだ一冊です。始まりの詩はこんな感じ。


おまわりさん

信じてください!!

お金が欲しかったんじゃなくて

カツアゲがしたかったんです

おまわりさん

信じてください!!

これが欲しかったんじゃなくて

万引きがしたかったんです

おまわりさん

信じてください!!


わかるわかる、この理不尽な言い訳。どっちかっつったら、カツアゲしたかったほうが悪いんじゃねえか?と思うけど、言い訳せずにはいられない、クソガキのプライドみたいなもん。もしくは、本当にそう言えば許してもらえるんじゃねえかと思ってるバカさ加減。わかるわかる。

本はこの詩から始まり、バカでお調子者の「片岡」と、文句をたれつつも実はそんな片岡が大好きなボクが、ふたりで犬のウンコに爆竹つっこんだり、隣りの中学校のボスと喧嘩したり、同級生の女子にふられたりと、アホらしくも濃密な「夏休み」を駆け抜ける様を描いています。ちょうど映画の「スタンド・バイ・ミー」みたいな、永遠に思えたけど、後から思うとほんの一瞬だったような、少年時代の夏休み。まるで祭りの山車ように、慌ただしく過ぎていく夏の後ろ姿のイメージ。

全ページに添えられたイラストも本人画。ジミー大西の色使いを彷彿とさせるそのタッチは、素人のヘタウマというレベルは遥かに超えてます。なんでもできんだな、コイツ。

短い本なんで、15分もあれば読めますが、読み終えると片岡たちと一緒にひと夏を過ごしたような気分にさせてくれる一冊です。ちょうど今ごろの季節に読むには、ぴったりかもしれません。

最後にレビューとはまったく関係なく、竹原ピストル作の「ヘンテコなさよなら」という詞を引用して終わります。この詞は野狐禅の歌ではなく、提供曲として作られたものですが、ボク的にものすごく好きなんで読んでみてください。そして、これを読んで「いい!」と思った方は、ぜひこの「片岡は夏のにおい」も読んでみてください。


最後の最後くらいビシッとキメねばと

力んだ拍子に屁をこいて

ハッとした鳩、一斉に飛び立った

嗚呼、できればボクのこの猛烈な羞恥心も

一緒に空の彼方へ、連れていってほしかった

君はクスクス笑いながら

「ありがとね、ホントにありがとね」などと言うのだった

屁をこいて人に礼を言われたのは

実に人生初であったから、キョトンとしていると

君は「そういうことじゃなくってさ……」と

そっと僕の手を握るのだった

涙にハンカチが差し出されたというよりは

ハンカチに涙が差し出されたような……

首を傾げ

吹き出して

目が合って

ヘンテコなさよなら

「ヘンテコなさよなら」竹原ピストル

-BOOK

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