52日目。年末に近づくとなぜかベスト盤なるものがCDショップに氾濫します。今年は、U2、Jamiroquai、Paul Weller、Mobyなどの大御所のベストがリリース済み。しかしベスト盤ってどうよ? 今までの売れたところだけ集めて、もう1枚アルバム買わせようっていう魂胆が気に入らん。もうほとんどの曲は持ってるのに、たった1〜2曲の新曲ボーナストラックに負けて、泣く泣くベストを買ってしまうファンの気持ちを考えたことがあるのか! おい、U2! お前ら、つい最近もベスト出したじゃんか! DVDとかつけて、ファンの心を弄ぶなー! おい、オアシス! お前ら、ベスト出さねえとか言ってたじゃん! うそつきー! でも買っちゃったー!
「オアシス」じゃなくて「オウェイスィス」。いや、やっぱ「オアシス」でいいや。94年にデビュー以来、これまでに6枚のアルバムをリリースし、全世界でのトータルセールスは、4,000万枚以上。95年に出したセカンドアルバム『(What’s the Story) Morning Glory?』は、ビートルズを抜きイギリスの音楽セールスNo.1アルバムを獲得しました。兄弟の確執、ドラッグの乱用、暴力事件、他のアーティストへの暴言、ステージで嘔吐、などなど、ある意味ロックバンドの超王道をぶっちぎりで走ってきた彼らは、一時のムーブメントは過ぎたものの、いまだイギリスを代表するバンドであり、彼らを超える存在はまだ当分現れないでしょう。そんな「オアシス」がデビュー12年目にして初のベストアルバムを本日リリースしました。
今回のベストはメンバーによって選曲された2枚組アルバム。「ベスト盤は解散するまで出さない」とか言ってたくせにリリースするし、2枚組のくせに18曲しか入っていないし、選曲がやけに初期の楽曲に偏っているしで、ファンの間ではやたら評判の悪い、ベスト盤のくせに問題作。
確かに、18曲中14曲はデビューから3年の間に発表された楽曲だし、ホントにバランスとかなんにも考えてない感じ。でも、これが例え25曲入りになったって、30曲入りになったって、どうせ「あれが入ってない!」ってファンの声は尽きないワケですから、これはこれでボク的には面白いベストかと。個人的には「Talk Tonight」が入っていてうれしいし、「Stop Crying Your Heart Out」が入っていないところが残念です。
また、このベストからの先行シングルカットっていう、よく分からん趣旨のシングル「Acquiesce」が出ていますが、これは98年にリリースされたシングル「Some Might Say」のB面だった曲。ギャラガー兄弟的に相当お気に入りらしく、このベスト盤のリリースに先駆けて改めてシングルにしたようです。ボクもこの歌スゴク好きです。ノエルとリアムが2人でツインボーカルを取っている珍しい曲で、内容も兄弟の絆をテーマにしています。
Because we need each other
We believe in one another
I know we’re going to uncover
What’s sleepin’ in our soul
ボクらはお互いを必要としているから
ボクらはお互いを信じているから
いつか探し出せるんだ
ボクらの中に眠っているものを
ちなみに「Acquiesce」とは、「黙従」、つまりなにも言わず黙って相手についていく、という意味。ゴシップ記事では、あんなクソミソに言い合ってる兄弟なのに、実はこの曲が好きってところに泣かされます。新曲トラックも入ってないし、DVDもショボイけど、なんかこのおかしくも切ない選曲で買わされてしまう、騙された感のない、ベスト盤のくせに、問題作。