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【無人島149日目】Egil Olsen “I am a singer / songwriter”

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I Am A Singer/Songwriter

I Am A Singer/Songwriter

  • アーティスト: エギル・オルセン
  • 出版社/メーカー: Lirico
  • 発売日: 2008/04/04
  • メディア: CD

149日目。現在ボクの周りに数人、心のバランスがうまく取れず苦しんでいる人たちがいます。彼らは一様に、普段は優しくて朗らかで、ボクなんかよりはるかに人間ができている人たちなのですが、ある日突然、目に見えない小石にでも躓いたかのように調子を崩しはじめ、そのまましばらく会えなくなったり、連絡が取れなくなったりしています。ナチュラルボーンおせっかいなボクは、励ましてあげたくて、電話をガンガンかけたり、メールをじゃんじゃん送ったりしてたのですが、「お前ってば逆効果!そっとしといてやれって!」と他の友達に怒られてしまいました。「元気出して!」「頑張って!」などという言葉が、重みに感じられてしまうほど疲れきってしまった彼ら。遅々として進まない、長く暗いトンネルを、手探りで歩き続けている彼ら。そんな彼らに、「そっとしとく」くらいしかできない自分が、はがゆいのでございます。

エギル・オルセン。ノルウェー出身のシンガー・ソングライターです。かつて彼は、『アンクルズ・インスティテューション』というバンドのフロントマンをしておりました。本当は他人との共同作業が苦手で、孤独を愛するタイプだったのですが、話のいきがかり上そういうことになってしまい、渋々バンドを結成。2001年から活動を開始し、インディーズから2枚のアルバムと2枚のシングルをリリースしますが、さっぱり鳴かず飛ばず。危惧していた通り人間関係も煩わしく、メンバーは常に流動的で、約4年間の活動の間に30人以上が入れ替わるという、不安定な環境の中での活動でした。やがてエギルはすべてのことに疲れ果ててしまい、長くて暗いトンネルの中に入り込んでいきます。
そのトンネルが、一体どれだけ長くて暗かったのかは、彼自身が語っていないので分かりかねますが、自身のホームページで本人はその期間を「a long time in hibernation, insecurity and darkness(冬眠と不安と暗闇の長い時間)」と表現しています。「鬱病」と一言で括ってしまえば、同じ病名なのかも知れませんが、本人の目に映る景色は千差万別で、エギルにとっては荒涼とした夜の雪の原野のようなものだったのかも知れません。
彼がその世界から脱出したのは、実際に身の置き所を移したことがきっかけでした。極寒のノルウェーから、アメリカ西海岸への一人旅。誰からも邪魔されず、誰からも急かされない自由な時間に、彼はギターをつま弾き、曲を作り、ひとりで自分の歌いたい歌を作り、歌いました。数ヶ月後、彼は自分自身の歌に癒され、再生していきます。トンネルを抜け、ノルウェーに戻った彼は、バンドを止めてソロのシンガー・ソングライターとして活動を始めます。そしてリリースされたのが、この「I am a singer / songwriter」というアルバムでした。
ギター一本で弾き語れる彼の歌は、シンプルで荒削りではありますが、苦しみや悲しみを捨ててきたのではなく、それらを自分の中の一部として、その上に立ち上がることができた、はかなくも強い男の心情が綴られています。音楽的にはオーストラリアのシンガー・ソングライター、Tamas Wellsにも似た、ファルセットを使ったメロディアスな構成で、エバーグリーンな瑞々しさがあります。Badly Drawn BoyやDenison Witmerにも近いでしょうか。

「This life is heavy, but this guy is strong(人生はヘビーだ。でも君はそれより強い)」。例えばなんの苦労もしていないボクがこんなことを言ってもなんの重みもないのですが、トンネルを超えてきたエギルの言葉なら、ボクの友達にも響くかもしれません。なんにもできない代わりに、今日は彼らにこの歌を捧げたいと思ったのです。

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