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【無人島174日目】二階堂和美 “ニカセトラ”

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ニカセトラ

ニカセトラ

  • アーティスト: 二階堂和美
  • 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード
  • 発売日: 2008/12/05
  • メディア: CD

174日目。すでに1ヶ月近く前の話になりますが、11月14日~16日まで沖縄・那覇市内の桜坂劇場で行われた『ASYLUM 2008』という音楽イベントに行ってきました。出演は、eastern youth、野狐禅、タテタカコ、山口洋 from ヒートウェイヴ、SION、小谷美紗子、and more! まるでボクのiPodの再生記録を確かめて出演者をブッキングしたかのようなラインナップ。これは沖縄の神様からの「おいでよ」、というよりはむしろ「来い!」的なお誘いだろうと勝手に理解し、迷うことなく那覇にまで出向きました。野狐禅で胸を熱くし、タテタカコで感涙し、山口洋で酔いしれているうちに、瞬く間に過ぎていった3日間でしたが、今回のイベントでボク的に一番盛り上がったのは、この人のライブでした。

二階堂和美。広島県出身のシンガーソングライターで現在34歳。99年にデビューし、今までに4枚のアルバムをリリース。他のアーティストのアルバムにも数多く客演として参加していて、eastern youthや青柳拓次率いるDouble Famous、はたまたキセルやSAKEROCKなどのカクバリズム(というインディーズレーベル)のアーティストとも親交の深い方です。
ボクが初めて彼女の名前を知ったのは、05年にテニスコーツのボーカル「さや」と二人で『にかスープ&さやソース』というユニット名で作ったアルバム『イピヤー』を耳にした時です。日本語でも英語でももしかしたら言語でもない言葉で、擬音的で呪文的な声をぐるぐるに重ねて、ユニゾンで狂ったように二人で歌いまくるという、ある意味「規格外」のアルバムで、好き嫌い以前に超マッシブ・インパクトな作品でした。
その頃からずっと「二階堂和美」という名前は気になっていたのですが、今年の夏に築地本願寺で行われた『他力本願でいこう2008』というイベントで初めて彼女の生ライブを拝見しました。元々実家がお寺で、本人も僧侶の資格を持っているという彼女は、本物の坊さんたちの読経をコーラスにして、本堂のど真ん中でのびのびと歌っていました。まるで歌が大好きなちっちゃな女の子が、楽しいことがあってうれしくて、もうダメ!我慢できずに歌っちゃってます!しかも変な踊り付きで!お寺なのに!といった感じのパフォーマンスで、観ている側を知らず知らずのうちに微笑ませてくれる、圧倒的な至福と多幸感がありました。浄土真宗のお寺なのに、彼女の姿はまるでイタリアの大聖堂の天井に描かれた天使のようでした。そうです、ボクは恋に落ちたのです。
沖縄の神様に招かれていった今回の『ASYLUM 2008』にも天使(和美←呼び捨て)は舞い降りていて、2日目になんともうひとりのボクの天使であるタテタカコとタイバンで登場。まさに恋のエンジェル対決(←意味不明)。それぞれのライブも素晴らしかったですが、アンコールでふたりが一緒に演奏した『赤い花白い花』と『今日の日はさようなら』は、そのままステージ上の時間を真空パックに詰めて、永久保存版にしたいくらい素晴らしかったです。
そんな二階堂和美の5枚目のアルバムとなる『ニカセトラ』が、先週リリースされました。今回はカバー曲集になっており、全曲ギター弾き語りで、しかも超一流のエンジニアを引き連れてスタジオを飛び出し、野外で演奏したり、自宅で寝っころがって歌ったりした音源を録音させるという、贅沢なのかなんなのかよくわかんない感じの企画なのですが、これがまた実に素晴らしい仕上がりになっておるのです。
松田聖子、南野陽子といったアイドルのナンバーから、陽水、ユーミン、プリプリから童謡まで、選曲からして支離滅裂ですが、完全に自分のモノにしてしまう歌唱力とアレンジ力、そして圧倒的な表現力は、ただただ圧巻。「この曲ってこんな歌だったんだ」と改めて再確認してしまうような、ナマナマしさを感じさせてくれます。山登りしながら録った(?)という『赤とんぼ』は、その上がり気味の息づかいに、恋しいネエヤを探しながら山道を行く少女の姿が見えるし、『夏のお嬢さん』の「アイスクリーム!ユースクリーム!」には、榊原郁恵が表現できなかった恋する女性の狂気が宿っています。
ライブが終わったあと、会場の前のベンチで休んでいた天使を見つけ、結婚を申し込もうと思いましたが、断られたら生きていけないので、握手だけしてもらいました。代わりにタテタカコにはCDにサインをしてもらいました!(←誰でもいいんかい!) とにかく今年聴いた中では間違いなく最も幸福な気持ちになれるCDです。

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