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【無人島280日目】Jack Garratt 『Weathered』

投稿日:2015年7月22日 更新日:

280日目。夏になると子供の頃のことを思い出すのはなぜでしょう? 夏休み、虫取り、スイカ割り、海水浴、花火、川遊び、小旅行、うたた寝、宿題、扇風機。少年時代の夏の回数より、大人になってから過ごした夏のほうが圧倒的に多いはずなのに、キンッと照った太陽に目を細めながら、モクモクと湧いた入道雲を望む時、思い浮かぶのはいつも子供の頃の夏なのです。今だったら絶対に触らない虫を平気で素手で掴んだり、今だったら口に入れるのも躊躇うようなスゴイ色のかき氷をバクバク食べたり、今だったら足がすくんじゃうような川石の上を思い切りジャンプしてすっ転んだり、あの頃のボクは今のボクより、はるかにタフでワイルドな冒険家でした。オフィスの窓に映る夏空を見上げながら、今も「あの頃のボク」がどこかで夏を冒険している図を思い浮かべてしまうのです。

閑話休題。最近ボクががっつりハマっているのが、弱冠23歳のイギリス人シンガー・ソングライター、ジャック・ギャラット(Jack Garratt)氏。昨年インディーズでデビューして、まだシングルを4枚発表しただけの新人さんですが、約束しましょう、彼はキマス。ヤヴァイです。先週リリースされたばかりの新曲『Weathered』のPVを貼っておきますのでご覧ください。

まるで映画『スタンド・バイ・ミー』 のような、きらめく少年たちの夏の情景に、「老い」と「死」をモチーフにした散文的な歌詞がかぶさるという、美しくも示唆的なこの映像は、アメリカ・ジョージア州の渓谷で撮影されたもの。映像の途中で出てくる闇に光るキノコは人工ではなく、実際にジョージア州に自生する「ヤコウタケ」。あんなものを子供の頃のボクが見たら、テンションが上がりすぎて鼻血ブーだったと思います。

英国『ガーディアン』紙はジャック・ギャラット氏の音楽を評して曰く、『ファレル(Pharrell)がいなくても、ファレル的な音作りができるエド・シーラン(Ed Sheeran)のようだ』とのこと(ファレルはエド・シーランのプロデュースをしています)。さっすがイギリス人。分かりづらいっす。でも、確かにエド・シーランの紡ぐキャッチーさもあるし、同じく英国人のジェイムス・ブレイク(James Blake)やダミアン・ライス(Damien Rice)、ボン・イヴェール(Bon Iver)といったミュージシャンが属する、求道的なアコースティック・エレクトロニカのジャンルにも近いです。なにを言ってるのかサッパリ!という方も多いかと思いますが、つまるところ「ボク好み」なのです。

まだオフィシャル的には2本しか制作されていないのですが、今年の2月に発表された『Chemical』という曲のPVも秀逸なので貼っておきます。ランプシェードにはトンだ災難なひっどい妄想ワールド。でもわかるわかる、この感じ。

『Weathered』のPVも『Chemical』のPVも、描いているのは「束の間の至福」。子供の頃の夏の1日がどんなにプライスレスなものなのかは、大人になってから知るものなのでしょう。最後にもう一度。ジャック・ギャラットは確実にキマス。ヤヴァイです。

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