211日目。AKBなんとかっていうのが人気だそうです。可愛らしい女の子をひとクラス分集めれば、そりゃ単純に嬉しかろうと思うのですが、それが入れ替わり立ち替わりとなれば、倍以上の延べ数がいるワケで、トコロテンつうか、ワンコソバ状態なワケですな。収集に歓びを感じるフィギュアやトレカで育った世代の子供たちにとっては、これはもう垂涎モンでしょう。すっかりオッサンであるところのボクは、おニャン子クラブの亡霊を見ているようで、どうも各人の行く末を案じてしまうのですが、昨日までの経験とか知識なんか!荷物なだけ!なので、余計なお世話なのでございましょう。
大人数というか大所帯のグループというのは、古今東西たくさんおるわけで、なにもアイドルに限った話ではありません。日本だと、東京スカパラダイスオーケストラ(9人)や、オルケスタ・デ・ラ・ルス(11人)、クレージーケンバンド(12人)あたりが有名でしょうか。クラシックのオーケストラや、ジャズのビッグバンドなんかも含めれば、20人かそこらは当たり前だし、今年結成されたイギリスのコーラスグループ『Rock Choir』は、なんと総メンバーが4,000人以上だとか。4,000人って。(年齢・実力不問の誰でも入れるチャリティグループらしいです)。
さて、本日紹介する『Gayngs(ギャングス)』。アメリカはウィスコンシン州で結成されたこのバンドは、ライアン・オルソンさんというミュージシャンが、地元のバンドを巻き込んで結成したグループで、さらにオルソン氏が交流のあるミュージシャンにも声を掛けまくり、集まった人数は総勢23名。197日目に紹介したBon IverことJustin Vernon氏なども、その名を連ねています。
今年5月にファーストアルバム『Relayted』をリリース。往年のUKバンド「10cc」の名曲『I’m Not In Love』にインスパイアされたというこのアルバムは、『I’m Not In Love』と同じテンポ(BPM69)で全曲制作するなど、ちょっと妙なこだわりが面白い作品です。アルバム内の唯一のカバー曲は元10CCのGodley & Cremeの『Cry』。どうせなら『I’m Not In Love』を演ればいいのに?と思うのですが、まあそれも彼らのこだわりなのでしょう。
このPVに出てくるのは、全員バンドメンバーらしいのですが、なんだかクオリティの低いモーフィングにドキドキします。最後の『クラ~イ~』の部分は悪い夢に見そうですね。なむなむ。
とはいえ、アルバムの内容は素晴らしく、BPM69というかなり遅めのテンポで演奏される音楽は、ノスタルジックで切なくてどこかエロティックです。23人というメンバーのせいか、R&Bやジャズやエレクトロニカなど、いろいろな要素が混じっていますが、雑な印象はまったくなく、さまざまな楽器を響かせながら、一定した通低音を保っています。大人数なのに、一人っぽいっていうと、一番近いでしょうか。
チームでもグループでもなんでもそうですが、大人数であることの面白さは、一糸乱れずビシッと揃うところではなく、魚影の群れのように、みんなが好き勝手やっていながら、遠くから見ると1つのフォルムをかたどっているところなのかもしれません。そういう意味では『Gayngs』も『AKB48』も、すばらしく優秀な集合体なのだなあと思うのです。