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【無人島190日目】家族時間 ~NHKみんなのうたカバー集~

投稿日:2009年6月18日 更新日:

190日目。気付いたら1ヶ月以上も更新をサボっておりました。この1ヶ月何をしとったのかというと、宮古島、京都、台湾などを放浪し、美酒と音楽に酔いしれてグダグダになり、気付いたらなんと四十路に突入しておりました。ビバ!ジャスフォー (Just Forty)! ちなみにボクと同い年生まれの有名人はというと、福山雅治、田辺誠一、山口智充、加藤浩次など、なかなか二枚目にして各分野でご活躍されていらっしゃる方が多い。また桜庭、吉田、曙など、Soulの熱い格闘家が多い。その中でも特に熱いのは、ボクとまったく同じ年月日生まれのプロレスラー、折原昌夫。通称「トンパチ野郎」。みちのくプロレスを主戦場にヒール役として活躍されておりましたが、04年に失踪。精神科に運ばれ、DV症候群と診断されます。本当は暴力が嫌いで、小動物を愛する心優しき男なのに、求められていたヒール役を維持するために、全身にピアスや刺青をいれるなど、やりたくないことをやってきた反動だったとのこと。なんか泣けてきます。ちなみにそんな心優しきトンパチ野郎の顔写真がコレ。笑うな。笑っちゃいかん。迷った時、苦しい時、立ち止まった時、ボクはこの写真を見ることにしています。

さてさて、不惑というなんとも惑わずにはいられない年齢を迎え、自分の人生をおそるおそる振り返ってみると、大した軌跡も跡形もない不毛な風景が広がっていたりして、思わず思わず目をそむけてしまいます。あああ、見んきゃよかった。オレ、40年なにしてた? こんなんでどうする? どうすんのよ、オレ? 続きはウェブか? ウェブなのか? つか年齢なんて関係なくね? 気にしない気にしない。オレ、まだヤングだしー。つか、まだキッズだしー。なんつー、ちょっと危なっかしい現実逃避をしたい時に聴く、オススメのCDを今日は紹介します。なんじゃそりゃ。

昨年リリースされた、NHK「みんなのうた」のカバー・コンピレーション・アルバム『家族時間』。48年の歴史を誇る「みんなのうた」が、1000曲超の楽曲の中から次世代に残したい15曲を選出し、今をときめくミュージシャンがカバーするという企画盤で、大人のミュージシャンが歌う『大人バージョン』と子供たちが歌う『子供バージョン』の2枚があります。今日紹介するのは『大人バージョン』のほう。

参加ミュージシャンは、タテタカコ、eastern youth、キリンジ、空気公団、土岐麻子、スカンク兄弟と原田郁子などなど、なんだかおもしろいことになりそうな匂いがプンプンするラインナップ。129日目に紹介した『にほんのうた 第一集』に近いコンセプトですが、芸術性を追求した『にほんのうた〜』に比べ、『家族時間』はもっとゆる〜い感じ。

空気公団の『北風小僧の寒太郎』では、原曲の「かんたろう〜!」という元気なコーラス部分が、エフェクトの掛かった外国人男性の「Kantaro…」というウィスパーボイスになっていて、思わずお茶を吹き出しそうになったし、スカンク兄弟と原田郁子の『手のひらを太陽に』では、一発撮りだと思われる演奏中の、5人のあまりのふざけっぷりに、くつくつと笑いがこみ上げてきます。

1000曲以上から選ばれただけあって、楽曲自体も秀逸で、「たのしいね」や「はじめての僕デス」は、そのシンプルながらもコアなメッセージにハッとさせられます。大人向けのヒットソングやベストセラーに比べ、子供向けの童謡や童話は、数は少ないが作品自体の息が長い。それはたぶん子供たちが、楽しいことをただ素直に楽しい、悲しいことをただ素直に悲しいとダイレクトに表現でき、それを他者と分ち合うことのできるコモンセンスを持っているからでしょう。もしかしたらそれが、大人と子供の違いなのかもしれません。

ちなみに「トンパチ野郎」こと折原昌夫氏は、昨年プロレス団体「メビウス」の代表および看板選手としてリングに復帰しました。同じ生年月日を持つ男として、なにかしらのコモンセンスを勝手に感じているボクは、彼の今後の活躍を心から応援しております。ハッピーバースデイ、トンパチ。不惑に惑う、いいジャスフォーになろうや、お互いに。そんでも体にゃ気をつけろ。

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