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【無人島160日目】Marc Johnson “Sound of Summer Running”

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ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング

ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング

  • アーティスト: マーク・ジョンソン,ビル・フリゼール,パット・メセニー,ジョーイ・バロン
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1998/01/21
  • メディア: CD

160日目。すっかりブログをさぼっておりましたが、気づけば夏真っ盛りですな。例年通り、山手線にはポケモンスタンプラリーに没頭する元気いっぱいのキッズと、そのつきそいとして同行する疲れきった面持ちのグランパ&グランマで溢れかえっております。もうすでに夏の風物詩っぽくなっているこのイベントですが、なにがそんなにキッズを虜にさせるんでしょう? 駅に備え付けてあるパンフを見てみると、なんとスタンプ全部で95種類もあるんですってよ!奥さん! 95駅降りろってまじパネーっス!(←最近覚えた若者語) しかも全駅集めてもらえる景品が『ピカチュウ貯金箱』ですって! 買ってやる! おじさんが買ってやる! だからグランパ&グランマを休ませてやっておくれよ、キッズ!

閑話休題。夏になると必ず聴くCDがあって、本日はそれを紹介します。アメリカ人ジャズ・ベーシストであるマーク・ジョンソンの98年のアルバム『Sound Of Summer Running』。「夏が通り過ぎる音」というタイトルからして好きです。
マーク・ジョンソンは、自身の名前でリーダーアルバムもリリースしているし、多くのジャズ・ミュージシャンとのコラボ作品も出しているので、決してマイナーな存在ではありませんが、彼を最も有名にさせているのは、彼が『ビル・エヴァンス・トリオ』の最後のベーシストであったこと。『Waltz for Debby』などで名高い天才ジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスが、麻薬で身を滅ぼす最後の2年間、それまでの仲間が彼の元を去った後に、ビルのそばにいて、一緒に演奏し、時には病院に行くようにと懇願し続けたと言われるのが、このマーク・ジョンソンです。きっといい人なんでしょうな。
80年にビルが他界。その後はスタン・ゲッツと一緒に活動したり、ギタリストのジョン・アバークロンビーとジョン・スコフィールドとともに『ベース・デザイアー』というバンドを組んだりと、意欲的に活動はしているものの、ピアノ+ベース+ドラムの、いわゆる「トリオ」と呼ばれるスタイルには、二度と手を出そうとしていないのも、なんとなく彼の人柄を感じさせるのです。
そんなマー君(←あだ名?)が、パット・メセニーとビル・フリゼールという二人の天才ギタリストとセッションしたのが、このアルバム。マー君のアルバムでありながら、リリース当時はメセニーとフリーゼルの初共演のほうが話題になっていましたが、今聴いても実に素晴らしいアルバムです。
決して派手なプレイとか度肝を抜く演奏とかではないのですが、アメリカの夏の高原を、大判のキャンバスに太いブラシを使って、印象派的に厚めの油彩で仕上げたような、壮大でいて、涼やかな風の匂いがするようなアルバムです。特に2曲目の『Ghost Town』を聴くと、ボクは「楽しかったけど二度と戻らない夏の日々」みたいなものを勝手に連想してしまい、いつも切ないような、泣きたいような気持ちになります。
「夏が通り過ぎる音」は、多分その時には聴こえなくて、後になってから「ああ、こんな音だったのかも」と思うものなのかも知れません。ポケモンも大事やろうけど、その夏一緒にそばにいてくれた人のことも、ちゃんと忘れずに覚えておくんだよ、キッズ。

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