月光荘
- アーティスト: 英祐一と瀬尾高志
- 出版社/メーカー: Zeus Records
- 発売日: 2006/09
- メディア: CD
124日目。先々月も110日目に書いた、野狐禅の竹原ピストルが月一で開催しているタイバンライブ「公開スパーリング」のラウンド6が、昨晩新宿のライブハウスで行われました。20時開演なので、19時過ぎには会社を出ないと間に合わないワケですが、そんな日に限ってうんこみたいな電話が掛かってきたり、うんこみたいなメールが飛んできたりで、なかなか会社を抜けられません。隣りの席の同僚が机を離れた隙に、特大のうんこをそいつのデスクにドッカン移し、「よろしく(ハート)」みたいなメモを残して会社を脱出したのが、すでに20時過ぎ。ダッシュで新宿に向かったのですが、到着した時にはすでにピストルくんのパートは残り1曲になっておりました。がっくり。
毎月やってんだから、1回くらい見逃してもいいだろうなんて思われるかしれませんが、でもそういうもんじゃないんすよ、このライブは。回を重ねるにつれ形を変えて行く歌。前回の挑戦が次回の結果につながっていく演奏。この連ドラのようなライブを、1回でも見逃したのは実にもったいない。
つうことで、ちょっと半ベソ気味で「ねえ、誰か録画してない?」みたいな気分でオロオロしていると、今回の対戦相手である男がリング(ステージ)に上がりました。名前も名乗らず、唐突に、激しく、その男は歌い始めました。
ドカーンとぶつけたらバチンと弾けるんだ
ドカーンとぶつけたらバスンと受け止めるんだ
たかが歌だからこそ 真剣勝負だからこそ
愛が愛を歌えるんだろう
(Get Up!! Stand Up!!)
まさにこの「公開スパーリング」と言う名のタイバンにピッタリな曲ですな。ステージ上でアコギ一本を胸に抱き、まるでなにかを吐き出すかのように、身を捩りながら歌うダルマさんみたいな風貌の男の歌は、掻きむしるギターの激しさとは裏腹に、歌と愛に感謝を捧げながら、よろめきながらも真っ直ぐに突き進んでいきたいと願う、誠実な男の繊細な祈りのような言葉で溢れています。
男の名前は英祐一(はなぶさ・ゆういち)。またの名を、えいすけいち。札幌を拠点として活動している「THE武田組」というバンドのフロントマンです。「THE武田組」の結成は昨年9月なのでまだ日も浅いのですが、えいすけいち自身は96年あたりから音楽活動を続け、ソロとしてもインディーズから6枚のアルバムをリリースしているベテランのシンガーソングライターです。
朴訥としてなに言ってんだかさっぱりわからんMCと、一曲終わるたびに柔道部の高校生のように坊主頭を下げながら「ウッス!」とお辞儀する姿と、マイクを通さないでも全然フツーに響き渡る熱いボーカリング。「ツアー中はノーパンっす!」という唐突なカミングアウトも新鮮で、実に楽しいライブでした。
ライブ終了後、会場で販売されていた最新のソロアルバム「月光荘」を購入。同じく札幌で活躍するコントラバス奏者・瀬尾高志氏とのコラボアルバムになっています。サンボマスターの山口の狂気と、ザ・マスミサイルのよっくんの繊細さと、憂歌団の木村のセンスを兼ね備えた歌、というとなんとなく近いでしょうか。歌詞カードの裏には、ピストルくんからのコメントも書かれていて、えいすけいちの歌をして「フルボリュームの静寂、フルパワーの脆弱」と評しています。ウマい。言い当てて妙です。さすがやね。
やっぱ無理をしても行ってよかった。ピストルのライブは見損ねたが、いいモンが見れたな。来月は万難排して挑まねばですな、なんてすっかりご機嫌を取り戻しつつ本日出社したら、ボクの机にさらに発酵し膨れ上がったうんこがドッカン載せられておりました。がっくり。
※このCDは一般販売されていません。欲しい方は以下のサイトからどうぞ。
http://plaza.rakuten.co.jp/anabiosisofjazz/2007
※THE武田組の視聴はこちらから
http://www.myspace.com/takedagumi