92日目。最近の調査で、ロシアの国民の約3割が「太陽は地球の周りを回っている」と信じていることが明らかになったんだそうです。また魔法などを含む超自然的な力を信じてる人は、人口の8割に上るのだとか。スゲーな、ロシアは。「常識ねー!」っていう揶揄よりも、むしろロマンを感じますな。ロシアには魔法使いとかがホントにいるってことなんじゃねえの? きっとその国では地球が太陽を司ってるんよ。科学や発展よりも、自然への畏怖を選んだ民。うーん、ファンタジスタ。カッコブーです。そのまま行け、ロシア。他の国の人に迷惑かけない程度に、突っ走れ。
平沢進。79年からテクノ・ユニット「P-MODEL」のボーカルとして活躍し、89年からは並行してソロ・ミュージシャンとしても活動している音楽家。戸川純率いる「ヤプーズ」に楽曲を提供し、アニメ「ベルセルク」や「千年女優」などの音楽を手掛け、「異母犯抄」名義で長州力の入場テーマ曲を作曲し、03年にはイラク戦争に対して抗議として「殺戮への抗議配信」と題して、楽曲を無料配信したりと幅広く活躍。最近ではアニメ映画「パプリカ」の音楽を手掛け話題になりました。そして昨年、通算10枚目となるソロアルバム「白虎野」をリリース。
この人の作る音楽は「常識」とか「定石」といったモノからはかけ離れた世界。電子音の重ね合わせで緻密に組み上げられた音楽は、テクノでありながら宗教性すら感じさせるほど、壮大でドラマティック。ヘッドフォンで大音量にして、目を閉じて聴いていると、音のひとつひとつの粒子がまぶたの裏に飛び交うファンタジスタな世界に連れて行ってもらえます。平沢氏ご自身で書いていらっしゃる詞世界も、日本語でありながら、全く異国の言葉で綴られているかのような、圧倒的なオリジナルワールド。
万象を乗せマッハの船がつんざく心像の下方
代々と連なり咲く調戒の花園を見た
「戻れぬ」と騒がしく 行くだけのキミよ
別れの時と 老いた「日」に身を投げた
夜は間近と浜辺の砂が 遠く沈む陽の影の牢を出る
千の国さえ砕ける波と にわかいきり立て夢の津波牙をむいて
(時間の西方)
意味わかんねー! でもそもそもこの人の歌は、意味がわかることに意味はないのです。分かりやすい歌詞と誰にでも好かれるメロディーとで造られた、オリコンチャートを賑わすポップスとは、まったく異次元の世界。そこは太陽が地球の周りをグルグル回り、人と人ではないものとが相対しながらも共存していて、ボクたちのちっぽけな「常識」などは何の役にも立たない、平沢進ワールドなのです。
「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」と言ったのは、アインシュタイン。ボクたちが、これが当たり前、これは常識、などと思っていることは、ホントに取るに足らないひとりよがりなモノであることを忘れてはいけません。余分な知識を持たず、生活に根付いたものだけを信じ、ただ敬虔に生きる。そんな人が、ロシアにはまだまだたくさんいるのかも知れません。ある意味、リスペクト。でも、「放射能に汚染された牛乳は煮沸すれば飲んでも安全」って回答したのが14%ってのは、デンジャラス。飲んじゃダメだよ。死んじゃうからね。