80日目。昨日、第49回グラミー賞が発表されました。アルバム・オブ・ザ・イヤー、レコード・オブ・ザ・イヤー、ソング・オブ・ザ・イヤーの主要3部門を制したのは、カントリー・グループ、ディクシー・チックス! ……へえ。ノミネートされた5部門をすべて受賞するという快挙! ……ふ〜ん。いやいや、バカにしてるワケじゃねえっす。カントリーってジャンルがどうもボク的にはグッグッとこないだけの話。例えばトミー・リー・ジョーンズは、絶対八代亜紀じゃ泣けないはずなのと同じで、アメリカの中西部に生きていないボクには、到底カントリーの本随は理解できんだろうなと思う。
ホントにカントリーってジャンルをバカにするつもりは全然ない。日本の演歌と同じスタンスで、あのジャンルで涙したり落ち着けたりノスタルジーを感じる人がいる限り、音楽としては全うしているワケです。ただ、こんな極東の島国に住んでるチンクリなボクなんかには分からんってだけの話です。
でも、それを踏まえた上で、個人的な感想として言わせてもらうと、ボクはカントリーを歌っている若いアメリカンなネエちゃんって苦手なんす。フェイス・ヒルさんとか、シャナイア・トゥエインさんとか。キレイだとは思うんだけどねー、ボクの趣味ではない。もうコレは音楽の話ではなくね。
ホントなんのレビューしてんだバカって感じですが、なんて言うんでしょう、男勝りなサバサバした美人をアピールするが故に、逆に女々しさみたいなのが鼻についちゃう。同じ理由で、セリーヌ・ディオンさんとかも苦手。多分、交際迫られてもお断りしちゃう。いやいや、交際申し込まれねえよバカ!って突っ込みは、棚の上の上のほうに、ギュウギュウに仕舞った上での御託です。
でも、ひとりだけ大好きな女性カントリー・シンガーがいて、それがこのエミルー・ハリス。この人なら交際してもいい。つか、結婚して。もうほんとバカ。
エミルー・ハリス。47年アラバマ州出身。75年にデビュー。当時すでにロックにその舞台を奪われていたカントリーというジャンルを、「カントリーロック」という新しいカタチで復活させた伝説のミュージシャン、グラム・パーソンズ。彼が公私ともにパートナーとして選んだのがエミルーで、当時は類い希なる美しさと、透き通るソプラノボイス、そして決してステージの上で笑顔を作らないポーカーフェイスで、ダークなカントリーアイドルとして人気を博しました。70年代にはグラミーを2回も受賞しています。
73年にグラムがドラッグで他界した後も、エミルーは音楽活動を続けましたが、80年代〜90年にかけて興行的には停滞します。それを突き抜けたのが、95年にリリースした「Wrecking Ball」。すでに48歳になっていたエミルーは、髪を白く染め、歌い方も小さく囁くような歌唱法に変え、まるで老いることに開き直ったようなスタイルで新境地を開きます。
そして00年に発表したのがこの傑作「Red Dirt Girl」。ループ・ドラムやサンプリングマシーンを多用し、もはやカントリーとは言い難い音楽になっています。全編沈み込んでいくような重みのあるサウンドに、ざらざらとしたノイズ。そしてかすかに震えたエミルーのかすれたボーカル。傷つき、老い、すべてを失った女が、赤い土埃の舞う道の上で歌っている姿を喚起させるこのアルバムは、その圧倒的な存在感と、エロティックな倒錯すら感じさせる名盤です。
元気いっぱいで働き者!男なんかには負けないわ!しかも歌もうまいし、美人で健康的なお色気もムンムンでしょ?!そこんとこ、どうよ?! みたいなポジティブ・シンキングなカントリーガールより、土埃の舞う錆びれた街のバーで、チューニングをわざとずらしたギターをかき鳴らしながら囁くように歌う、年増の疲れた、でも目だけがやたらギラギラしている女のほうにグッときてしまうのは、なぜでしょう? 知らねーよ。つか、ブログにそんな性癖書いてどうする。もうほんとバカ。