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【無人島71日目】オフコース “i (ai) “

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i (ai) (DVD付)

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  • アーティスト: オフコース, 小田和正
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2006/12/06
  • メディア: CD


71日目。66日目に紹介したボクの敬愛する漫画家・松本大洋原作の「鉄コン筋クリート」の映画版が上映中です。クロとシロという二人の子供が、自由気侭に暴れまくりながら、何かを喪失し、そして再生していく冒険活劇。クロはシロがいるからクロであり、シロはクロのおかげでシロになれる。兄弟ではなく、恋人でもなく、自分が自分でいるために必要な「相棒」。それはすごく刹那的で、脆弱で、だからこそ貴重な存在なのです、ってテーマが、この原作の根底にはあります。



で、話は飛びますが「オフコース」。横浜の聖光学院高校に通っていた、小田和正と鈴木康博の同級生同士で結成したのが始まり。1970年にデュオ・フォークとして、メジャーデビュー。デビューからしばらくは日の目を見ませんでしたが、79年に3名のメンバーの加入によりバンドサウンドに移行し、その年にリリースした「さよなら」が大ヒット。その後「Yes-No」「時に愛は」などリリースシングルがガンガン売れ、一躍大人気グループにまで昇りつめました。しかし、人気絶頂時の82年に鈴木の電撃脱退で実質上の解散。その後鈴木抜きの4人でバンドは続きましたが、各人のソロ活動が目立ち始め、88年に正式に解散しました。その後の小田和正の活躍ぶりはご存知の通り。

解散の原因は、小田と鈴木の確執だったというのが通説。あんなに仲良かったのに、売れちゃったら変わっちゃったね、アンタ!みたいな、分かりやすい話だったのかも知れませんが、やっぱり「相棒」ってのは難しいんでしょうな。例えば漫才なんかもそうですが、どちらかが強烈なキャラを持っていると、もうひとりはどうしてもソレを支える影みたいな存在にならざるを得ない。ツービート然り。紳竜然りね。

天才肌でオーラのあるの小田と、職人気質で地味な鈴木。一緒にスタートし、ゆっくり歩幅を合わせて走っていた間はあんなに楽しかったのに、いつの間にかスピードが増して、全力疾走しているうちに、振り向いたら隣りにいるはずのヤツがいなかった。「なんでついてこないんだ!」「なんで置いていったんだ!」なんて不毛な会話があったかどうかは知りませんが、その時にできた隔たりを結局最後まで埋められず、彼らは絶縁という最悪な別れ方をしました。

先月、鈴木の脱退から25年目にしてベストアルバムがリリース。初期の名曲から、人気絶頂時のシングル、そして鈴木脱退後の作品まで、全32曲を収録。特にふたりの仲が睦まじかった初期の楽曲「秋の気配」「めぐる季節」「愛の唄」「もう歌は作れない」等の完成度は、今聴いても奇跡的です。小田の紡ぐ良質なメロディーを、鈴木のアレンジとコーラスがさらなる高みにまで引き上げる。その均衡の取れた共同作業は、刹那的で、脆弱で、だからこそ貴重なのです。

二人は今年でそろって還暦。この珠玉のベストを、どんな風に聴いてるんでしょう? 今さら復活なんて望んでませんが、「鉄コンキン」のシロとクロみたいに、最後にもう一度ふたりで空を飛んでほしいです。このベストを聴いて、改めてそう思った。ソコカラナニガミエル?

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