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【無人島62日目】カズオ・イシグロ “わたしを離さないで”

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わたしを離さないで

わたしを離さないで

  • 作者: カズオ イシグロ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/04/22
  • メディア: 単行本


62日目。パンパカパーン! さて突然ですが、2006年度「無人島に持っていくで賞」BOOK部門の発表です。なんじゃそりゃ? いいの。勝手に作ったの。つい先週くらいまでは最有力候補とされ、ほぼ賞は確定かと思われた森絵都の「風に舞いあがるビニールシート」が、なんと最後の最後に脱落し、今年ぶっちぎりで賞をゲットしたのは……ドロドロドロドロドロドロ(←ドラムロール)、今週読み終えたばかりの「わたしを離さないで」by カズオ・イシグロ! おめでとーございまーす!



日本生まれのイギリス作家、カズオ・イシグロ。日本名「石黒一雄」は、1954年長崎生まれ。5歳でイギリスに移住し、83年には帰化していて、日本語はほとんど話せないのだとか。89年に「日の名残り」でイギリスで最も権威のある文学賞であるブッカー賞を受賞し、今やイギリスを代表する作家のひとりになったイシグロが、昨年上梓した、第6作目となる長編小説がこの「わたしを離さないで」です。

この本で、イシグロは2度目のブッカー賞にノミネートされ、タイム誌のオールタイムベスト100に選出、さらに米国図書館協会のアレックス賞受賞と、「日の名残り」と比肩する評価を受けています。そして、とうとう「無人島に持っていくで賞」を獲得です。パチパチパチ! うれしくねーか。

あとがきの解説で、柴田元幸が「(読み始める時に)予備知識が少なければ少ないほどよい作品」と書いていますが、まさにドンピシャ同感なので、ここはあえてストーリーの紹介はしません。本の裏表紙に、あらすじなんかが載ってますが、ここにもあえて目をつぶり、直接本編に入ることをオススメします。なるべく先入観のない状態で入った方が、感情移入できるし、そのあとに訪れる衝撃と切なさを、登場人物と共有できるからです。

ネタバレにならない部分でレビューすると、原題は「Never Let Me Go」。ストーリーの中ではジュディ・ブリッジウォーターという歌手の歌のタイトルということになっています。どんな歌なのか聴いてみたくて検索かけまくりましたが、結局”Judy Bridgewater”というシンガーは実在しませんでした。

また、この本についてのインタビューで、カズオ・イシグロはこんなことを言っています。

「人の一生は私たちが思っているよりずっと短く、限られた短い時間の中で愛や友情について学ばなければならない。いつ終わるかも知れない時間の中でいかに経験するか。このテーマは、私の小説の根幹に一貫して流れています」。

つまり、この本の登場人物たちが辿る運命は、一見残酷なように見えますが、「いつか死ぬ」という運命を知りつつ生きているボクたちと、実はさほど変わりはないという意味だと思います。これ以上はやめときます。

とにかく、ものすごく抑制された筆致で、トンでもない世界を描ききっています。最後のページを読み切ったとき、しばし放心してしまうほどの、これぞ文学。文句ナシで、今年の無人島ナンバーワンです。

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