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【無人島50日目】須藤元気 “風の谷のあの人と結婚する方法”

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風の谷のあの人と結婚する方法

風の谷のあの人と結婚する方法

  • 作者: 須藤 元気
  • 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
  • 発売日: 2006/07/28
  • メディア: 単行本


50日目。「金持ち父さん貧乏父さん」とか「チーズはどこへ消えた?」とか、数年に一度くらいの割り合いで、人生の成功術などをテーマにした、いわゆる「自己啓発本」ってやつが売れまくったりします。ああいうの、読みます? ボクはあんま読まないんです。生来ひねくれモノなんで、正論を大上段に語られると「うるせーよ。知ってるっつーの!」とか思っちゃう。知っててもできねーんだよ! いいんだよ! ほっとけ! 親父、酒だ、酒! グビグビ!みたいな。ダメダメ貧乏おじさん。



そんなボクが何を間違えたのか、自己啓発本を買ってしまいました。格闘家・須藤元気の2冊目のエッセイ「風の谷のあの人と結婚する方法」。タイトルずるくね? 意味深でそそられます。自己啓発本だなんて思わんかったし。しかも、あとがきにチョロッと説明があるものの、本文にはこのタイトル、全然掛かってこないんです。ヤラれたぜ。さすがトリッキー。

須藤元気の哲学者っぷりはすでに周知で、白装束で四国88カ所をお遍路してみたり、「オーラの泉」で自身のスピリチュアル感を披露し美輪明宏をうならせてみたりと、筋肉バカの多い格闘家の中でも異色なキャラで通っています。

今回の「風の谷の〜」は、作家・森沢明夫から届いた私信メールに、須藤が返信するという形式で、須藤の哲学や成功術などについて、彼自身の言葉でまとめられたもの。1〜2時間もあれば読み終える程度の短い内容なので、分厚くて難解な自己啓発本が苦手な人でも、この本なら大丈夫だと思います。いわゆるタレント本のわりに、須藤元気の写真を一切入れていないところも、ボク的には好感が持てました。

彼が自分自身のテーマとし、リングで使用するタオルにも記してある言葉は「We Are All One」。「オレたちゃひとつだ!」と訳すとずいぶんベタな言葉に響きますが、この本を読むと彼がどういう意味合いでこの言葉を大切にしているのかが理解できます。

「人と人が敬い合うとき最も大切なのは『誠実さ』だと思います。言い換えると、相手のことを自分だと思って行動するということです。それさえ守っていれば、世の中すべてがうまくいき、地球も輝きます」(本文より)

うんうん、分かってんだけどさー。できないんだよねー。グビグビ。ところで関係ありませんが、最近本屋の店頭に並んでる「父さん、僕は金持ちになりたいんだ」って成功術本の、このタイトルはどうなの? 言外に「僕は父さんみたいにはなりたくないんだ」って言ってるのか? ガーン。ふざけんなー! グビグビ!

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