44日目。よく「アレは、パクリだ!」みたいな中傷がネットの掲示板なんかで囁かれ、終いには世間から吊るし上げを食らったりする作家やアーティストのニュースなんぞを見たりしますが、一応モノを作る仕事をしているボクなんかからすると、ああいうのはちょっとしたホラー映画並みに怖いっす。あからさまな「コピー」はどうかと思いますが、なにかを作るとき、他人の作品から「インスピレーション」をもらうことなんて正直ザラ。無意識になにかを模していることもあり得るし、それを「インスピレーション」と言い張れるか、「パクリ」だと弾劾されるかは、個人的であやふやな線引きしかないってのが、クリエイター的には超ホラーです。オ、オレを責めるなー! だったら、「Jet」はどうなのさー?!
「The Jets」じゃなくて「Jet」って、バンド名からしてちょっとパクリチックなネーミングですが、オーストラリア出身のロックバンドで、2003年にリリースしたデビュー・アルバムの収録曲「Are You Gonna Be My Girl」が iPodのCMソングに起用され、全世界で350万枚以上のセールスになったラッキーバンド。最近、ダイノジのおおちがエアギターの大会で優勝した時に使用した曲っていうと、分かりますかね? このページの最後のムービーのやつです。
このバンドの特徴は、いい意味で全曲パクリなところ。マジいい意味で。なんか新しいことをやってやろう!とか、他人がやってないことをやるんだ!とか、変な気負いがない。ビートルズ尊敬してるし、オアシスも好きだし、AC/DCもカッコいいし、エアロスミスも良くね? だから、やつらのいいとこ全部パクってみましたけど、なにか? みたいな、あっけらかんとした開き直りがステキです。いや、ほめてる、ほめてる。
ファーストに引き続きこのセカンド・アルバム「Shine On」も、プロデューサーにオアシスやレッチリを手掛けてきたデイヴ・サーディを迎え、「コレってどっかで聴いたことがある気がする」的フレーズをガンガンにフィーチャーし、見事なパッチワークで組み立ててあります。どこかしらオアシス!な歌もあれば、なんとなくストーンズ!な曲もあったりで、実に多彩。ファースト・シングルの「Put Your Money Where Your Mouth Is」は、70年代レトロロックなデジャヴを引き起こしつつ、一度聴くと耳から離れなくなるキャッチーさだし、個人的にはビートルズの「Eleanor Rigby」からタイトルをパクったとしか思えない「Eleanor」は、原曲に勝るとも劣らない名曲ぶりです。
「ロックをやる中で一番最悪なのはオリジナリティだ」と言い放ったのは、The Beastie BoysのJim Dickinson。額面通りに受け取るべき言葉ではないでしょうが、「ロック」というひとつの分野の中で作る音楽は、「ロック」以外のものであってはいけないのだし、つまり「ロック」を模倣するところから始まるのは事実でしょうな。それは、パクリでもインスピレーションでもなく、あえて言うのなら「継承」かもしれません。
そう。これはデザインという名の「継承」なんですね。って言い訳したら、クライアントからブン殴られんだろうな。ハイ。スンマセン。大人しく精進します。ハイ。