34日目。先週生まれて初めて中国に行ってきました。仕事だったんで、あんまゆっくり観光ってワケには行きませんでしたが、やっぱ面白い国ですね、チャイナ。なんつうか、発展途上の国特有の、土地にパワーが地雷みたいに埋まってる感じがジンジンしました。東京みたいに無駄に快適な街よりも、いろいろ不便なところも多いけど、だからこそ人間が頑張ってる、みたいな国に行くと、目というか、体が覚めていくような気分になります。そしてなぜか、学生時代にバックパックを背負って、あっちゃこっちゃの国を貧乏旅行していた頃を思い出しました。友達とアメリカ大陸を横断したのを皮切りに、メキシコにも行ったし、タイの山岳民族にも会ったっけ。汚ねえユースに泊まったり、畑のすみで野グソしたこともあったっけ。アレはアレで、よかったなー。いや、野グソの話だけではなくね。
その頃、よく旅のお供に連れて行ったのがこのCD。1990年にリリースされたBEGINのファーストアルバムです。「イカ天」からデビューし、「恋しくて」で大ブレイクした彼らの、良くも悪くもそれからの方向性を示した作品。
いまでこそBEGINは、島唄ポップスの大御所的な扱いですが、彼らが島唄を中心に歌い始めたのは結構最近で、それまではなんつうか、ブルースなんだけど、ポップスでもあって、島唄も混じってます、みたいな、半端な感じの音楽をやっていました。それもこれも「恋しくて」の大ヒットと、このデビューアルバム「音楽旅団」の完成度の高さのせいだったのではないかと。
このアルバムでは、11曲中5曲がBEGINのメンバー以外の作家の手によるもので、純粋な彼らのオリジナルは「恋しくて」と、もう1曲しか入っていません。でもどの曲も見事に当時のBEGIN色、つまり「恋しくて」と同じ色合いで、心地よくベタつかない、極上ポップスに仕上がっています。特に「流星の12弦ギター」や「SLIDIN’ SLIPPIN’ ROAD」は、オトコの旅心をくすぐる名曲で、若かりし日のボクは世界のあちこちで、このアルバムを聴き倒しました。
このファーストの奇跡的な完成度のせいで、BEGINはその後、このアルバムの劣化コピーような作品を発表し続け、低迷します。きっと自分たちのホントにやりたい音楽と、周りから求められる音楽との間で、右往左往してたんでしょうな。それが、2000年に発表した「ビギンの島唄」あたりから、島んちゅー色を強く出しはじめ、ぐっと渋い大人な感じに変わり、そして「涙そうそう」の大ヒットで見事返り咲きます。
たぶん、ボーカルの比嘉栄昇とほぼ同い年ってせいもあるんですが、そういう若かりし日の迷いがあって今がある、みたいなところも含め、ボクはBEGINが好きなんですね。中国から戻って、久しぶりにこの「音楽旅団」を聴いたら、比嘉くんのまだ若々しい歌声に、このCDを持って旅していたころのことを思い出しました。いろいろ不便なところも多かったけど、だからこそ頑張った日々。戻りたいとは思わんが、アレはアレで心地よかったな。いや、野グソの話だけではなくね。