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【以前の無人島22日目】古内東子 “CASHMERE MUSIC”

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CASHMERE MUSIC

CASHMERE MUSIC

  • アーティスト: 古内東子,森俊之,斎藤有太,河野伸,山本隆二
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2005/11/30
  • メディア: CD

22日目。今年の冬は寒いですねー。3日前に降った東京の雪は、凍ったままアスファルトにへばりつき、頑固なホームレスのようにじっと動きません。窓の外ではびゅーびゅーと、屋根に残った雪を散らしながら北風が暴れています。外出たくねー。「寒すぎ」って理由で会社休めんかね?「いいですよ。つか、もう来なくていいですから」とか、冷静に言われんだろうな。しょうがねえ、行くか。せめて耳当て代わりにでっかいヘッドフォンつけて、冬っぽい音楽でも聴きながら行こ。

古内東子。実はよく知りません。つい最近、ラジオで彼女の新曲「コートを買って」って曲を耳にしたんです。これが実に「ニューミュージック」。アレンジこそエレクトロ・ハウス的な音になってますが、ベースはユーミンや岡村孝子の世界。恋人にフラれた去年の私を捨てて、今年は新しいコートを買って出直すの!次の恋はそこからね!みたいな、ベタな歌詞。うわ〜、今頃こんなニューミュージックやってんのかいコイツ、とか言いながら、アルバム買っちゃいました。ワハハ。好きなんじゃん。
松任谷由実や中島みゆきを筆頭にした、80年代の女性ニューミュージック。岡村孝子、八神純子、鈴木祥子、石川優子、上田知華+KARYOBIN、大貫妙子、谷山浩子……。彼女たちの作る歌は、もちろんそれぞれ個性は違ったものの、どちらかというと音楽性よりもその詞世界のウェイトが重く、メッセージ性の薄い「等身大の女の子のフツーの日常」って歌が多かったように思います。アレンジも演奏も稚拙だけど、語りかけてくる、本当に「感性だけで勝負」みたいな楽曲。だからショボイ歌もたくさんあったけど、自分のために歌われてるのかと思うような、ピンポイントにグサッとくる曲なんかもあったんです。
最近の女性シンガーソングライター、例えば宇多田ヒカルも椎名林檎も大塚愛も、本当に才能あるしすごいなーって思うんだけど、練られすぎ、磨き上げられすぎで、粗(あら)が見えなくて、ちょっとつまんなかったりしません? アレンジャーなりプロデューサーなり、いろんな才能あるクリエーターたちの手によって、完成しきっちゃってる感じがするんですよね。歌詞もそれぞれ個性があって独特なんだけど、上手に作られていて危なげないっていうか。
ボクがこの古内東子に反応しちゃったのは、多分この人の歌が、昔懐かしい「感性勝負」な歌だったからのような気がします。もちろんアレンジは熟(こな)れてるし、歌もうまいんだけど、なんか聴いていてこっちが照れくさくなってくるような、あけっぴろげな詞世界。自分の体験や思ったことをそのまま歌にしてみましたって感じの私小説感が、なんとも久しぶりで心地よかったりするんです。例えるなら、ブログとかの日記じゃなくて、ちゃんと日記帳に記されている知らない女の子の日記を盗み読みしてるみたいな気分すかね。うわっ!オヤジ臭さ!

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