9日目。いい気分で早起きできたので、波乗りにでも行こうかな。つってもオレの場合は、ボディーボードなんすけどね。窓から望むと誰もいない早朝のビーチ。白い波の波頭がオレを手招いているようないないような。よし、行くべ! 準備しながら、このCD聴いて気分盛り上げるべ! 頼むぜ、ジャック!
ジャック・ジョンソン。ハワイ出身の元プロサーファーにして映画監督にして、今や売れっ子ミュージシャン。3年前にインディーズから出したこのデビューアルバムがバカ売れして、あれよあれよと大スターに。「オーガニック・サーフミュージック」という新しいジャンルを確立し、Donavon Frankenreiter、Damon Aaron、The Beautiful Girlsなど、今まで日の目を見なかったミュージシャンが注目されるようになったのも、この人のお陰でしょう。
ボクは彼のライブに3年連続行ってますが、一昨年の朝霧ジャム、昨年の渋谷AX、今年の東京国際フォーラムと、1年ごとに箱がデカくなっていきまして、なんでも来年の4月に来日がもう決まっていて、今回は幕張メッセですってYO! デカ過ぎDEATH! それでもチケットはプレミア確実らしいですが。
いや、人気出て当然だと思うし、いいモノはやっぱ売れるんだなあと素直に感心はするんですけどね。んー、なんて言うんだろ。ボクは彼のやってる音楽が大好きなんで、だからこそ彼の歌と、「売れる」っていうシチュエーションが、なんかピンとこないっつうか。本人はどう思ってんだろ?って思っちゃいます。
いまだにステージに上がるときは、Tシャツとジーンズ姿。もちろん「イメージ戦略」とかもあるのかもしれませんが、なんとなくボクには今の自分の状況を受け入れきれずにいる姿、もしくは流されまいとがんばっている姿、のように見えるんです。
以前なにかのインタビューで「ボクに必要なものってそんなにないんですよね。映画撮るカメラとギターと海があれば。ホントはそんだけでいいんですよ」って答えていましたが、多分ホントにこの人はそういう人なんだと思います。ほんの4〜5年ほど前までは、波乗りして、仲間と酒飲みながら歌うたって、そんな日常を写して仲間内の映画を作ったりするのが大好きな、ちょっと器用なワイハのアンチャンだったはず。多分今の大ブレイクを一番信じられないのは本人だと思います。
「みんな、ゆっくり行こうぜ。お前ら動くの早すぎんだよ」。
このアルバムの1曲目でそう歌うジャックは、急流の中で止まって見える魚が本当はものすごく懸命に泳いでるみたいに、今必死に「ゆっくり行こう」とがんばってるんじゃないかと思うんです。オレだけかな? これもイメージ戦略だったりして。